休息
中山教官や小早が神力不足からようやく目を覚まし、隊の空気にわずかな安堵が戻りかけた矢先、司令部から新たな報せがもたらされた。
「……前線に戻る必要は、なくなった……?」
俺が思わず聞き返すと、情報を伝えてくれた桜木教官は、幾分か肩の荷を下ろしたような、しかし複雑な色を浮かべた表情で静かに頷いた。防衛線のその後の状況が安定し、他の部隊の増援や戦線の再編が決まったことで、ボロボロになった明光隊が今すぐ再び前線へ駆り出される必要はなくなったというのだ。
完全に回復しきっていない者や、未だに自室から出てこられない相原軍曹、入院中の鴨居伍長を抱える明光隊や中山隊にとって、それはこれ以上ない朗報だった。再びあの地獄のような戦場へ放り込まれるという最悪の不安が消え去り、ようやく本当の意味で、心身を休めるための時間が与えられた瞬間だった。
「……よかったな、小早」
俺は振り返り、ようやく目を覚ましたばかりの小早に声をかける。彼女はまだ気だるげな様子だったが、どこかホッとしたように小さく微笑み、俺の服の裾をそっと掴み直した。
まだ完全に日常が戻ったわけではない。傷ついた仲間たちのケアや、崩れた隊の立て直しなど、やるべきことは山積みだ。それでも、急かされるように命を削る日々からようやく解放された安堵を噛み締めながら、俺たちはようやく訪れた本当の休息に身を委ねることにした。




