負傷兵たちの帰還
病院のベッドが足りないという理由から、鴨居先輩を除いた負傷者たちが無理やり寮へと押し戻されることになった。激しい数日間の防衛戦をどうにか生き延び、俺たちはガタガタと揺れる移送車両に乗り込んで明光隊の寮へと向かっていた。
隣の座席には、左腕を固定器具でガチガチに固められた小早が座っている。車両が小さな段差を乗り越えるたびに車体が大きく揺れ、その度に小早は痛みに顔を歪め、小さく息を呑んだ。痛みを堪えようと歯を食いしばる彼女の肩が、わずかに震えているのが嫌でも伝わってくる。
「……小早」
俺はたまらなくなって、揺れる車内でそっと彼女の体に腕を回し、自分の胸元へと引き寄せて抱きしめた。これ以上の衝撃が患部に響かないように、できるだけ体を張って支えにする。小早は驚いたように小さく身じろぎしたが、極限の緊張と失血、そして蓄積した疲労のせいか、やがて力なく俺の肩に頭をもたれかけさせた。
「……関……」
かすれた呟きとともに、小早の瞼がゆっくりと重たげに落ちていく。痛み止めと疲労で意識がトロトロと混濁しているのか、彼女はうとうとと小さな寝息を立て始め、完全に脱力したように俺の腕の中で身体を預けてきた。
周囲では他の仲間たちがそれぞれの痛みに耐え、重苦しい沈黙が車内を支配している。だが、今この瞬間だけは、腕の中で眠気と痛みに揺れる小早の温もりだけが、生を感じさせてくれる。俺は車両の揺れに耐えながら、彼女を壊れないようにそっと抱きしめ続けた。




