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意識を飛ばすほどの激痛

血まみれの臨時陣営にどうにかたどり着いた俺たちの姿を見るなり、「みんな!」と青ざめた顔で駆け寄ってきた。その声には焦燥と恐怖が混じり合っている。

小早は脂汗をびっしょりと掻き、顔を真っ青に歪めながらも「神川先輩……任せました」と、相原軍曹と片倉上等兵を震える腕で医療チームの者たちへと引き渡した。

だが、そんな小早の様子がおかしい。左腕が、さっきの戦闘での被弾によって再び変な角度に曲がり、固定具ごと完全に砕け散っているのは見てすぐに分かった。尋常ではない痛みなのだろう、小早は息を呑むことすらできず、立っているのがやっとという状態で全身を小刻みに震わせている。

「小早……っ!」

俺自身も背中や肩に敵の攻撃を受けて鈍い痛みが走っていたが、そんなものは問題じゃなかった。意識を失いかけている小早がその場に崩れ落ちる前に、俺は自分の傷の痛みなど無視して彼女の体に両腕を回し、必死にその小さな体を支え続けた。熱を帯びた脂汗が小早の頬を伝い、俺の制服を濡らしていく。これ以上あいつを壊させわけにはいかないと、俺は歯を食いしばりながら、必死に医療班へ助けを求めて叫んだ。


野戦病院の簡易ベッドの上で、小早の顔面から血の気が完全に引いていた。わずかな振動だけで、意識が途切れかけているはずの彼女の体がエビ反るように激しく跳ねる。

「っ……あ……、ああっ……!」

3〜4か月前に複雑骨折した上腕の骨だ。不完全に形成されていた仮骨が先の戦闘の衝撃で再びへし折れ、断面同士が生々しくズレ合っている。医療スタッフが激痛を抑えるために迅速に動き、さらなる二次被害を防ぐための処置へと取りかかる。

まずは硬性の副子(添え木)を前後に慎重にあてがっていった。しかし、腕に触れること自体が、耐え難い電撃痛を走らせる。包帯で固定していくわずかな圧力だけでも、小早は息を詰まらせ、喉の奥から押し潰されたような悲鳴を漏らした。

「おい、しっかりしろ……! 小早、目を開けろ……!」

俺は自分の傷の痛みなど忘れたように彼女の手を強く握りしめ、呼び続けた。しかし、激痛と迷走神経反射による血圧低下で、彼女の瞳は焦点を失いかけている。額からは玉のような脂汗が滝のように流れ落ち、唇を狂ったように噛み締めて出血している。

さらに、折れた上腕にかかる重力や揺れの負荷を完全に逃がすため、スタッフが肘を直角に曲げ、三角巾とバストバンドで胴体にぴったりと縛り付けていく。その体幹固定の瞬間、骨の断面が微かに擦れ合ったのか、小早の体がガタガタと震え、意識の糸がプツリと音を立てて切れそうになった。

鎮痛薬の投与と輸液の処置も急ピッチで進められる中、俺はただ、目の前で自分の身を削って戦い、ボロボロに壊されていく彼女の冷たい手を握りしめ、それ以上どうすることもできずに立ち尽くすことしかできなかった。


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