上機嫌
幾重もの敵影を葬り、俺たちは重苦しい沈黙に包まれた仮陣営へとようやく帰還した。防壁の内側に足を踏み入れた途端、無線機から響いてきたのは、作戦本部からの切迫した呼び出しだった。
指定された指令テントへ足を踏み入れると、そこには俺たち中山隊のメンバーの姿だけがあった。疲労の色を隠せない俺たちを前に、司令官の口から告げられたのは、予想をはるかに超える絶賛の言葉だった。
他の防衛隊も含めた全軍がこの数時間で凄まじい勢いで戦線を押し上げていること、そして何より、俺たち中山隊が圧倒的な速度で敵の主力を削いだおかげで周辺一帯の戦況が完全に優勢へと傾いていること。その戦果を、本部高官たちがこれでもかとばかりに称えてくれた。
こちらが事前に幾重もの想定で万全の準備を整えていたこともあり、これほどの大規模侵攻でありながら、甚大な被害を出すはずの防衛戦が、あまりにも短時間で決着しつつある。数ヶ月を要すると思ったが数週間で済みそうだ。
静まり返ったテントの中で、高官たちの賛辞を受け止めながら、俺は静かに息を整えた。予想以上の成果だ。
「しかしここまでの成果を上げられるのであれば戦闘補佐隊としてではなく正式な隊として中山隊を結成してどこかの基地に腰を据えたらどうだ?その実力もあるだろう」そう上機嫌が隠せない高官から言われるが
「はは……そうですね……」と苦笑いして返した。
考えてなかったわけじゃない。だが小早と関の心情を考えると簡単にそんなことは出来なかった。




