中山隊の動き
「面倒だな、中山。関と小早を組ませて、俺らは1人ずつで動かないか?」
予想していた通りの提案だった。だが、念のために忠告しておく必要がある。
「自分の身は自分で守れよ、桜木」
「分かってる」
わずかに低く返したその声に、迷いはない。私は通信越しに二人に問いかけた。
「聞いてたか? 小早、関、その布陣でいけるか?」
「大丈夫です」
「わかりました」
本来、両刀使いが混在しているとはいえ、攻撃手が二人いるならそれぞれに援護手を付けるのが軍のセオリーだ。しかし、桜木は圧倒的な広い視野と機動力を持ち合わせており、単騎であっても被弾することはまずない。彼の防衛力を信用するならば、前衛の攻撃に戦力を割り振るこの変則的な布陣は、確かに最大の戦果を生む手札となり得る。
「中央の突破は二人で頼む」
「了解です。小早、あれをやろう」
「了解!」
一体何を仕掛けるつもりだ。
見れば、小早が瞬時に創り出した神力の足場を利用し、関が回転しながら鋭い軌道で敵へと肉薄していく。小早は次々と足場を生成し、相手に「どのベースを踏み台にするか」迷わせる攪乱戦術をとっている。それだけに留まらず、小早自身も足場を作るフェイクを織り交ぜてダイレクトに攻撃を叩き込み、敵の思考を完全に分断させていた。
……なるほど、見事な連携だ。敵は派手な軌道を描く二人へと完全に目を奪われている。その致命的な隙を生み出してくれるというのなら、私たちがその背後から弱点を突かない手はない。
それにしても、若いというのは恐ろしいものだな。これほどまでに敵の目を引き付ける派手な立ち回りを、土壇場で自然体でやってのけるのだから。
二人が作り出した巨大な隙に乗じ、私たちは次々と敵の外殻を削ぎ落としていく。そして、露出した急所を桜木が狂いのない的確な一撃で撃ち抜いた。
「お前ら、派手に神力を消費しやがって」
「でも、確実に処理スピードは上がってますし、効率的でしょう!」
「へへっ、上出来だろ」
「よし、次に行くぞ!」
「はいっ!」
戦況は、恐ろしいほどの速度で私たちの優位へと傾いていた。
あまりにも順調すぎる。これほど楽に前線が回るとは思っていなかった。攻撃手4名としての超攻撃的な機動も、援護手2名・攻撃手2名という手堅い布陣への切り替えも、一瞬で噛み合っていく。何より、かつて同じ釜の飯を食った元班員同士だ。互いの思考の癖や微細な動きの予兆を熟知しているからこそ、無駄な確認すら挟まずに完全に同調できる。
殺戮の連鎖は止まらない。さくさくと冷徹に次の一体を屠り、この日――わずか5時間足らずの交戦で、私たちは10体もの巨大な敵の討伐に成功していた。
通常であれば、1体に1時間を要し、神力の枯渇によって次々と戦線を離脱せざるを得ないのが民兵部隊の限界だ。そんな過酷な戦場において、5時間もの激闘を続けながら誰一人として神力切れを起こさず、圧倒的な制圧力を維持し続けるなど、軍全体で見ても尋常ではない。異常なまでの高効率、そして特異すぎる戦果だった。




