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違和感と不安

福岡第二基地に到着したのは昼頃だった。空港のロビーへ、荷物を受け取りに関と小早の二人がわざわざ迎えに来てくれていた。

「ありがとうございます、教官」

「事務方が、すぐに着られるだけの状態に整えてくれているぞ」

「あとでちゃんとお礼を言わなきゃね」

そう言って軽口を叩き合う二人は、思っていたよりも緊張の色が見えず、俺は内心でふっと胸を撫で下ろした。

基地の宿泊棟は空きが少なく、現在関が明光隊の寮に身を置いているという事情もあり、俺たちもそちらの寮へお世話になることになった。リビングに通されると、明光隊の隊長と副隊長が出迎えてくれた。

「福岡第二基地・明光隊隊長の相原桜花です」

「副隊長の鴨居李子です」

「八王子本部・立川基地戦闘補佐隊、中山隊隊長の中山だ」

「同じく中山隊で副隊長をしている桜木だ。男が二人も転がり込んできてすまないが、よろしく頼む」

相原桜花軍曹。確か、以前の戦いで一度顔を合わせた子だ。民兵にしてはなかなかの動きをする、見覚えのある顔だった。その隣に控えているのは、あの時待機組だった子か。

「相原軍曹は、確かこの前も会ったな」

「先日は、お二人ともお世話になりました」

「鴨居伍長。いつもうちの王子と関が、こちらでお世話になっているようでありがとう」

「いえ……」

どこか縮こまった様子で頭を下げる。おとなしい子だな、という印象を受ける。

挨拶を終えると、宿泊用の部屋がある3階へと案内してもらった。

3階フロアは日頃ほとんど使われていないらしく、現在は男性という理由もあり関だけがこのフロアを割り当てられて使っているらしい。これほど大きな女子寮でありながら、明光隊しか使っていないのもあり、フロアのほとんどに人がおらず、どこか寂れていて勿体なく感じられた。部屋もまだ七部屋ほど余裕を残して余っているようだ。


夕飯だと小早に呼ばれて行った食堂のテーブルには、俺たちの分の食事まで綺麗によそって用意されていた。

「すみません、用意までしてもらって……」

「あ、いえ! 足りなかったら遠慮なく言ってくださいね!」

慌ただしくパタパタと動いているその子は、確か成瀬二等兵だな。

「夏純、菊名先輩と片倉先輩、そろそろパトロールから戻ってくる頃だから声かけてきて!」

「はい!」

「すみません、パトロールが少し長引いているようなので、先に食べ始めましょうか」

申し訳なさそうにする相原軍曹に、俺は穏やかに首を振った。

「相原軍曹、お気になさらずに。せっかくですから皆揃ってから待ちましょう」

にこりと笑って返したが、かえって彼女を恐縮させてしまったかもしれない。こちらが居候している身だというのに、やけに気を遣わせてしまっているな……。小早や関は、ここでずっとこうした空気を味わってきたのだろうか。それとも、もっと自然にこの輪に馴染めていたのだろうか——そんな余計なことがふと頭をよぎり、少しだけ不安になる。

「お待たせしました! すみません!」

「いえ、お疲れ様です」

息を切らせて戻ってきた隊員たちがぺこりと頭を下げて席につくと、ようやく全員が揃い、一同で食事を口に運び始めた。


食事の後、

「小早と関、ちょっと借りていいか?」と桜木が声をかけてくる。

「いいけど、桜木、どこか行くのか?」

「コンビニ行ってくる」

「あんだけ食っといて、まだ食べるのか? 寮にあるものは名前が書いてなければどれを食べてもいいって言ってたぞ」

「それもあるけど、単なる息抜きだ」

なるほど、あいつもあいつなりに、このピリついた基地の空気を気にして気晴らしでもしたかったのだろう。

「あんまり遠くへ行くなよ」

「ああ。何かいるか?」

「アイス。いつもの」

「それだけか?」

「お前みたいに出撃直前でも平然と食えるタイプじゃないからな」

そう言って笑うと、桜木は「分かったよ」と軽く手をヒラヒラさせながら、寮の出口へと歩いていった。

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