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恋バナ

「おはよー。」

「おはようございます。」

気の抜けた挨拶を寄越してきたのは、他でもない菊名先輩だ。うわ、絶対何か面白がってる顔してる。

「どうしたんですか、朝からそんなニヤニヤして」

「んー? どうしたのって、ねぇ?」

先輩はにやにやと含み笑いを浮かべながら、私の肩をポンと軽く叩いてきた。

「可愛い彼女が看病してあげないとねー!」

そう言い残すと、菊名先輩はご機嫌な足取りでそのまま食堂の方へヒラヒラと歩いていってしまう。たしかに交際してはいるけれど、公私混同するような不真面目な真似は絶対にしたくないのに……!

そもそも、最近関の雰囲気がほんの少し柔らかくなったからだろうか。女だらけの明光隊は、こういう色恋沙汰のアンテナが異常に高すぎる。


少し前なんて、食堂の席に着くなり片倉先輩に「ねえねえ、小早って関中尉と実際どうなの?」とニヤニヤしながら絡まれたっけ。

「え? どうって……何がですか?」

あまりの直球に私が全力で戸惑っていると、隣にいた菊名先輩がすかさず「どう見たって付き合ってるでしょ、隠さなくてもさぁ」と当然のように言い放ったのだ。

「なっ……!?」

「え、もしかして図星? カマかけたけど、その反応は……ふぅーん、確定っと。」

したり顔でこちらを覗き込んでくる菊名先輩の顔といったらもう。完全にやられた。まさか自分たちの関係がバレているなんて思ってもみなかった私は、見事に先輩のひっかけに引っかかり、その後の集中詰問に耐えきれず、あっさり白状してしまったのだった。

あんなの、絶対その場の勢いでボロを出させられただけなのに、よりによってあの場には菊名先輩と片倉先輩しかいなかったはずなのに――。

翌日には、なぜか明光隊のメンバー全員にすっかり話が伝わり、「やるじゃん小早!」「今度詳しく聞かせてよ!」と隊のあちこちでからかわれるハメになるなんて、その時は夢にも思わなかったんだから!


恥ずかしさで思わずその場で頭を抱えるしかなかった。

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