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安住の地
上官の部屋を出た後、暗い廊下を歩いていると、関がぼそりと呟いた。
「小早、勧誘慣れしてるな」
「……関は、あんな風に露骨に勧誘されることってないの?」
「んー……俺は天照隊から戻された経緯があるからな。あんまりいい顔をしない上官の方が多いよ」
「なるほどね……。でも、広島本部は二人とも欲しいって感じだったね」
天照隊での過去を自嘲気味に語る関に頷きながら、私は前を見据えたまま言葉を続ける。
「関は、本所属……決めるの?」
「……小早はどうなんだ?」
「いいや。でも……いつかどこかに落ち着くのも、悪くないんじゃない? 今みたいにいろんな地方を転々とする生活も、楽しいけどね」
そう言って私が軽く笑ってみせると、すぐ後ろについてきていた相原先輩と鴨居先輩の、なんとも言えない複雑な表情が視界の端にちらついた。
一度死線をくぐり抜け、そしてまた次の戦場へと向かう私たち——「安住の地」という言葉の重みが、静かな廊下に小さく響いていた。




