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新しい関係性

敵の再侵攻に備え、俺は一ヶ月間、福岡第一基地の明光隊へそのまま残留することになった。

中山教官たちは「小早をよろしく頼む」と言い残し、立川へ帰っていった。

トン、トン。

「小早……? 入るぞ」

ドアを軽く叩くが、返事はない。静かに部屋のドアを開けると、ベッドの上で小さな体を丸めてすやすやと息を立てている小早の姿があった。

あの日、極限まで神力を使い果たした小早は、あれからずっと眠り続けている。

実は中山教官も、昔同じように神力を枯渇させた時に何日も眠り続けたことがあったそうだ。神力という未知のエネルギーは謎が多く、急激に不足すると、脳がそれを補給するために強烈な欲求を引き起こすらしい。それが睡眠欲として現れる者もいれば、食欲、性欲、さらにはどこかへ出かけたくなる放浪欲として現れる者まで様々だという。

だからこそ、立川を去る前、桜木教官が珍しく破顔して言っていたのだ。

『ははっ、あいつの無茶な戦い方は俺に似てるかもしれんが……神力の戻り方はどう見ても中山似だな。中山、間違いなくお前の立派な教え子だよ』

ちなみに桜木教官自身は、神力が減ると「睡眠欲と食欲」が同時に爆発するタイプらしい。

「小早、教官たち帰っちゃったぞ?」

返事のない彼女に優しく話しかけながら、俺はベッドの傍らにそっと腰を下ろした。

実は俺自身も神力不足の影響が残っていて、ここ数日は一日の大半を寝て過ごすか、ひたすらご飯を食べるかして体を休めている状態だ。

窓から差し込む暖かな昼下がりの光と、ふんわりと部屋に漂う小早の甘い匂い。

心地よい温もりに包まれているうちに、俺もいつの間にかまどろみの中へと落ちていた。

夢を見ていた。

立川で、安宅と、小早と、三人でくだらない話をしては賑やかに笑い合っていた頃の夢。

二度と手に入らない、けれど胸の奥でキラキラと輝き続ける、何よりも大切で愛おしい記憶——。

「……関」

柔らかく名前を呼ばれ、ふっと目を覚ます。

「小早……?」

「ふふ、そうだよ。おはよう、関」

夢の続きかと思った。

だが、背中からキュッと小さな腕が回され、小早の華奢な体が愛おしそうに俺を抱きしめてきた。その確かな温もりに、心臓が跳ね上がる。

「お願いだから……もう少しだけ、こうしてていい?」

「あぁ……もちろん」

甘えるように背中に顔をうずめてくる小早の仕草に、胸がぎゅっと締め付けられる。

ずっと言えずにいた想い。死にかけたあの雨の中で、二度と離さないと誓ったあの感情が、もう抑えきれなくなっていた。

「……あのさ、小早」

「ん?」

「……好きだ」

口にしてから、急に胸が苦しくなった。

……やっぱり、早まったか……? 小早には、まだ安宅のことがあって……。

断られる恐怖で固まっていると、背中で小早が小さく息を飲んだ気配がした。

そして、照れたように、消え入りそうな声で囁いたのだ。

「……私、も……好き、です……っ」

「小早……! 本当か……!?」

弾かれたように振り返ると、そこには頬を林檎みたいに真っ赤にして、恥ずかしそうに、でも幸せそうに微笑む小早の顔があった。

愛しさが限界まで溢れ出し、俺は小早の華奢な肩をそっと引き寄せて、その柔らかい唇に軽くキスを重ねた。

離れると、小早はくすっと嬉しそうに笑って、俺も思わず顔を綻ばせる。

「……おいで」

もう一度小早を腕の中にしっかり抱きかかえ、互いの体温を感じ合いながら、俺たちは幸せな余韻の中で、再び心地よい眠りの中へと落ちていった。


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