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才能の差

翌日、事態が動いた。

休戦状態が破られ、回復した私は明光隊の三人、そして関とともに再び戦場へと舞い戻った。

出撃直前、私は各員へ陣形を細かく指示した。

「片倉先輩と南野は相原先輩に、私は関につきます。ですが……いざという時に神力を温存するため、最初は相原先輩たちも私たちの援護に回っていただけますか? 関中尉の立ち回りには、学べるところがたくさんあるはずですので」

戦闘が始まる。

関の動きは、昔と変わらず無駄がない。最小限の神力と極限まで洗練された軌道で、群がる敵を次々と撃破していく。その圧倒的な身のこなしは、明光隊の三人にとっても目から鱗だったようだ。

「関中尉……本当にすごいね」

「まぁ、立川基地の同期卒業トップだからね!」

誇らしく相原先輩に答える。

関の戦い方は、援護する側にとっても非常に動きやすい。かつて中山教官が「お前たちは相性がいい」と言っていたけれど、相性が合うというのは、こういう感覚のことを言うのだと思う。

無駄のない洗練された手腕で敵を裁き、早くも五体目を撃破した。

さすがだな、と思う。かつて「数年に一度の逸材」と称され、士官学校の攻撃手科で一度も首位を譲らなかった男。関の背中を守る戦いは、恐ろしいほどにやりやすかった。

敵のコアを穿った関が、息も乱さずに声をかけてくる。

「ナイスフォロー、小早」

「ナイス撃破」

私は短く返し、擦れ違いざまにロータッチを交わした。

「当たり前だろ」

「ふふっ、そういう生意気なところが関らしいよ」

すると、敵の残骸をすり抜けながら、関が真真面目な顔でこちらを振り返った。

「あのさ、小早!」

「何?」

「俺……俺とお前だけじゃない。安宅も一緒に戦ってる。俺はいつだってそう思って戦ってるから!」

「関……っ」

胸の奥がぎゅっと締め付けられ、熱いものがこみ上げる。

「……そうだね!」

あの日失った大切な存在は、今も私たちの背中を押してくれている。二人でそう笑い合った、その時だった。

「すごい……これが、民兵との差……」

後方から、相原先輩の羨望と諦めの混じった呟きが聞こえた。

——差。

その一言が耳に届いた瞬間、思考が冷たく凍りついた。


努力の差だよ

――努力の差、か……。誰よりも家で練習して、誰よりも動いて……それでも“差”だって言うの?

やる気の差だよ

――やる気? やる気がないって……私が……?

才能の——

胸の奥底に封印していた、中学時代の吐き気がするような記憶が、泥のように溢れ出してくる。

中学二年の頃、不器用で何をやってもうまく結びつかなかった私に、周囲が投げつけてきたあの冷酷な言葉たち。どんなに泥を啜るように努力しても、「才能」や「要領の悪さ」という残酷な壁の前にすべてを否定されたあの屈辱。

めまいがして、視野が不気味に歪む。

「小早?」

関の鋭い声で、ハッと現実に引き戻された。

「……何?」

「集中しろよ」

「……ごめん」

「しっかり息吸えば大丈夫だから」

「……吸って、吐いて……」

関に言われるまま、大きく深呼吸をする。

冷たい外気が気管を通り、乱れかけた心拍を少しだけ押し鎮めてくれた。

ここは戦場だ。過去の泥濘に足を盗られている場合じゃない。

私は必死で頭を振り、不気味な黒い記憶を意識の奥へと押し込めながら、再び右腕の刃を固く握り直した。


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