手合わせしたいものだ
雨が上がり、茜色に染まり始めた空で、俺は民兵の生き残りたちを率いながら怒涛の迎撃戦を展開していた。
「焦るな! 距離を保ちながら援護に徹しろ!」
後方の隊員たちに指示を飛ばし、目の前に迫る化け物の攻撃を弾き返していた、その時だった。
視界の端——少し離れた空域で、凄まじい密度の神力を撒き散らしながら、常軌を散した立ち回りで敵と交戦している影が映った。
……なんだ、あの無茶苦茶な戦い方は……!?
目を疑った。
その者は、左腕をだらりと殺した歪な体勢のまま、薄氷を踏むような紙一重の回避と、全神力を注ぎ込む破滅的な手数の攻撃を叩き込んでいた。命を投げ打つような凄絶な気迫と、圧倒的な神気量。
一体誰だ?
福岡の第二基地に、これほどの神力と実戦のキレを持った両刀手がいたというのか。
……すごい神力の量だな。あれほどの出力を維持しながら突撃できる奴なんて、そうはいないぞ
どんな猛者なのか正体を見極めたい衝動に駆られたが、俺自身の目の前にも敵が群がっており、とても視線を固定している余裕などなかった。敵の射撃をシールドで弾きながら、俺は内心で感嘆の息を漏らす。
もしこの地獄を生き延びられたら……一度、あいつと手合わせの訓練をしてみたいものだな
まさか、その「死を恐れぬ凄腕の兵士」が——
つい先ほど病院で血を流して倒れ、絶対安静で休んでいるはずの自分の教え子・王子小早の姿だとは、この時の俺は知る由もなかった。




