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人間らしい

関目線―――

安宅は朝早くに家族の所へ戻った。安宅の実家に行ったことがある。たしか年の離れた妹がいたな。幸せそうな家族だった。

安宅を中山教官と小早と見送った後、小早の足が止まった。

「小早…?どうした?」中山教官が振り返ると同時に

「小早!!」小早は糸が切れたように地面に落ちた。


それから小早は1週間ほどベットの上で見たこともないような蒼白な顔をし、今にも安宅の後を追いかけそうなほど弱々しかった。

「関、お前もちゃんと食え。」

中山教官が俺の分のご飯を持ってきてくれる。俺はそんなに強くない。安宅は唯一無二の親友で、小早は唯一無二のライバルだったから。軍人を辞めるわけにはいかない。でもやっていける気もしない。小早を見ててこのまま小早までなんて思うと怖い。弱点は全て無くせという教官の指導にはついていけなかった。

「中山教官…俺、軍人やっていけないかもしれないです。」

「そうか…そうだよな。安宅はお前の親友だもんな。」

「俺ずっとどっかで安宅と小早と一緒にいられると思ってて…それが当たり前だと思っていたのに…今は小早すらいなくなりそうで…こんなに怖いと思うのは初めてで…俺って弱いですね。」

「弱くないさ。俺もさ、今回どこかで3人は無事に乗り切れると思った。それでお前ら3人だけで戦わせた…。誰かが悪いというなら俺が1番悪い。特にお前ら3人は期待してたからな。だから俺も教官だけではなくて軍人も辞めようか考えながら動いてた。」

こんなすごい人もそんなこと思うんだ。あの後怪我人の手当や残された俺達の面倒も見ていた。沢山の生徒も教官も亡くなって動ける教官も少ない中、中山教官が走り回るのを良く見かけていた。

「関は人間だからな、それで合ってる。弱さがなければそれは人間ではない。」

安宅たちと出会って初めて泣いた。少佐はそんな俺の背中をずっとさすっていてくれた。

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