十三、脅し未遂と保護者登場
少し短めです。
「え、あ……」
寝起きのぼやけからピシリと固まった私の様子に、目を細めてこちらを観察していたルーエンは拍子抜けしたように瞬きを繰り返す。
少し間があって、何かを喋ろうと口を開き……かけたルーエンは唐突に頭ごと後ろへ仰け反った。
「ぅわ、なにー!」
「オメェは黙ってろ。ネスは落ち着け」
ルーエンの頭に手を置き、髪をわしゃわしゃとかき混ぜながら顔を覗かせたのは、あの日別れて以来のネグだった。
落ち着けと言われて、気がつけばパクパクと魚のように空気を喰むばかりで息が吸えないことに混乱する。
緊張と恐怖で震え出した体が痛みを訴えるのもあって、余計に呼吸がしづらい。
「っは、」
「コレ被ってろ」
すると、唐突にバサリと頭に布がかけられて視界が遮られた。
見えなくなったことで人から感じていた圧もなくなって、自分の息が布の動きで見えるようになって。
呼吸に集中して、痛みで固まる体の力を少しずつ抜いていく。
ぼそぼそと喋る二人の声が聞こえて、ふと空気が緩んだ気がした。
どうしてネグがここへ、と頭を傾けてそこでやっと自分が体を起こしていることを遅れて理解した。
途端に襲い来る痛みに、今度こそ体の力を抜いて倒れるようにクッションの山へと身を委ねた。
*
「オメェなぁ、尋問じゃねぇんだし単に興味本位なら怪我人の回復くらい待ってやれ。それでなくとも、眠れてない子どもの寝起きを不意打ちで攻め入るような、そんな常識のない大人に育てた覚えはねぇ」
「……わかってるよー。でも、」
「でもとかいう話じゃねーって、言ってんのが分からねぇのか?」
「っ、ごめんなさい」
「あ?俺に謝んのか?何の謝罪だテメェ。ちったぁ目を離しても大丈夫な大人になったかと思えば」
「ね、ネス。ごめん、ごめんってー!別に弱みを握ろうとかじゃなかったんだよー。威圧だってうっかりスイッチ入っちゃっただけで、ほんと、ほんとーにごめんなさいーー!」
呼吸が落ち着いて、布を取ろうにも動けないで固まっているとネグが取ってくれた。
背中側に山になって置かれていたこのクッションも、寝ている時は確実にそこにはなかったからネグが入れてくれたのだろうと礼を言う。
「気にすンな。こいつが全部悪い」
縋りつこうとしてくるルーエンの首根っこを捕まえつつ、礼はいらないとばかりに空いている手を振られた。
……とうとう鬱陶しくなったらしいネグがルーエンの頭をガッと殴っていい音が聞こえるまで、しばらくルーエンの涙声での謝罪は止まらなかった。
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