七、また知らない場所
少しばかりの作戦会議を行った後、休憩がてら食事をとることに。
しかし、レオは何故か泣きそうになりながら保存食を齧る私たちを見つめ、震えながら干し肉を手に取った。
「おいしくない……」
意を決して干し肉のかけらを口にしたレオは、随分頑張ってもぐもぐ口を動かした末に、震える声で呟いた。
頑張って飲み込んだらしいレオの目尻には涙が浮かんでいた。
これでもかなり質の良い干し肉なのだけど……と思いつつ、ムギネリ(粗悪な小麦粉?を練って焼いただけのもの)には見向きもせず水を飲むレオの姿を見て申し訳なくなった。
ちなみに、それを見て大笑いしたネグはレオからまた距離を取られるようになって、慌てて取りなすという事件があったりした。
*
突然、バタバタと上の床が踏みしめられる音が響く。
ただ事ではない空気に急いでレオを壁の方へ押しやり、それと同時にネグが軽く腰を上げた。
様子を伺うに、今までの訪問とは明らかに様子が違うらしい。
近づいてきた足音の人物が止まり、勢いよく扉が開かれた。
部屋に降りてきたのは顔を隠した二人。
「ンだァ、?!」
「お前は用済みだ」
声を上げようとしたネグに、黒い服の男がナイフを投げ、ざくり、とネグの首に刺さったのがよくみえた。
倒れるネグと共にからりと音を立てて転がるナイフ。
幸いなことに追撃はなく、倒れたネグはすぐに傷を自力で抑えた。
しかし、レオの悲鳴とともにネグからダクダクと流れ出す血が傷の深さを見せつけるように地面に広がる。
「< >、っ」
「おい、静かにしろ!無駄な抵抗はするなよ。殺すなとは言われているが、痛めつけるなとは言われてねぇんだぞ」
辛うじて意識があるのか、まじないの効果がわかったネグが一瞬目を見開いたのと同時に、お腹へ強い衝撃を感じた。
「ぁ、ぐ」
今度はわかった、お腹を殴られた。
白く途切れる思考の端で怖がるレオの声が聞こえた気がしたのも束の間、持ち上げられた浮遊感がそのまま意識を攫っていった。
腕が、燃えるように熱く痛い。
*
「ーー、ーーー」
「ぃ、」
「おねえちゃん?ネスおねえちゃん!」
「れ、お」
ぼんやりとした視界の端で、薄暗い中も輝くような金髪が震えているのがみえた。
頭を撫でようと伸ばした手が酷く痛み、はっと目が覚めた勢いで体を起こした。
「!レオ、怪我は」
「おねえちゃん!」
「痛いところはない?」
「おねえちゃんがいたいの、うでが」
「レオに怪我はないね?」
「うんっ」
ほっと息を吐いて力を抜くと、血が足りないのかぐらりと頭が揺れて体が倒れる。
が、想定より遥かに柔らかいものに体が守られる。
「んぇ」
「どうしたの?いたい?」
「う、ううん。そうじゃなくて……」
どうやら、随分上質なベットに寝かせられていたらしい。
怪我の部分以外に痛みは感じないどころか、気がついたらもう一度眠りたくなる心地よさがそっと体を包んでいる。
床で寝ている時は体のどこかしらが痛むのに、とつい思考が逸れる。
滑らかな肌触りの感覚に、ふと自分の体を見れば知らない服を着ていることに気がついた。
よく見ればレオも見知らぬ服へと着替えており、髪や手足も小綺麗になっている。
痛みを感じる腕も、若干血が滲む感覚はあるものの、きっちりと包帯が巻いてあった。
「なぜ……?」
雑に扱われているのか何なのか、本当にわからなくなってきた。
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