シーン9 夕飯
(登場人物)
青井由太
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
由太:
「うわっ!」
飛び起きる。
外はもう暗い。
由太:
「寝すぎた!」
静:
「ようやく起きたか」
由太:
「静さん、帰ってたの!?」
静:
「ああ」
由太:
「夕飯!」
静:
「食べている」
由太:
「先に食べたの!?」
静:
「起きないからだ」
由太:
「起こしてよ」
静:
「起こした」
由太:
「覚えてない」
静:
「だろうな」
由太も座る。
味噌汁を飲む。
由太:
「どう?」
静:
「何が」
由太:
「味」
静:
「普通だ」
由太:
「普通かぁ」
静:
「……うまい」
由太:
「え?」
静:
「二度は言わん」
由太が笑う。
由太:
「着物も直した」
静:
「見た」
由太:
「上手だった?」
静:
「ひどい」
由太:
「頑張ったのに!」
静:
「だが」
由太:
「?」
静:
「ありがとう」
由太:
「……」
静:
「何だ」
由太:
「今日の静さん、優しい」
静:
「気のせいだ」
由太:
「じゃあ小遣い――」
静:
「それとこれとは別だ」
由太:
「やっぱりいつもの静さんだ」




