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シーン8 静、帰宅
(登場人物)
青井由太
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
夕方。
静:
「ただいま」
返事がない。
静:
「由太?」
部屋へ。
まだ寝ている。
静:
「……」
由太の頬をつつく。
由太:
「ん……」
静:
「起きろ」
由太:
「あと少し……」
静:
「夕飯」
由太:
「作ってある……」
静:
「何?」
由太:
「鍋……温めるだけ……」
静が炊事場を見る。
鍋。
切った大根。
焼いた魚。
味噌汁。
すべて準備してある。
静:
「……」
由太:
「食べていいよ……」
静:
「お前は?」
由太:
「あとで……」
静は由太を見る。
そのまま寝かせておく。
そして庭へ出る。
洗濯物を取り込む。
自分の着物。
袖の破れが縫ってある。
静:
「……」
ひどく不格好な縫い目。
静は指でなぞる。
静:
「馬鹿者」
小さく笑った。




