81/96
シーン6 団子屋の誘惑
(登場人物)
青井由太
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
買い物を終えた由太。
帰り道。
団子屋の前を通る。
由太:
「……」
見ない。
歩く。
由太:
「……」
止まる。
振り返る。
団子が並んでいる。
由太:
「見るだけ」
店主:
「一本どうだい」
由太:
「今日は金ない」
店主:
「つけとくよ」
由太:
「……」
悪魔の言葉だった。
由太:
「一本だけ」
店主:
「毎度」
団子を受け取る。
由太:
「うまい」
一本食べ終わる。
由太:
「……静さんには黙ってよう」
店主:
「静さんにつけとくよ」
由太:
「俺につけて!」
店主:
「同じだろ」
由太:
「違うよ!」




