シーン8 夜・路地裏(数日後)
【登場人物】
青井 由太/19歳
江戸の裏長屋育ち。働くことは苦手だが、炊事・洗濯・掃除など生活能力は高い。
「女性に養ってもらう代わりに、その女性の生活を支える」という独自のヒモ哲学を持つ。
本人に歴史を変える意図はまったくないのに、何気ない親切や行動が幕末の重大事件を微妙に動かしてしまう。
神無月 静/26歳
白拍子・芸妓として活動する一方、裏では倒幕派に関係する女間者。剣術にも優れる。
由太を拾って「衣食住を与える代わりに家事を任せる」という関係になる。
由太より7歳年上で、基本的には姉・保護者・雇い主のような立場だが、次第に由太を対等な相棒として見るようになる。
お光/26歳
静と同年代の芸妓。明るく世話好きで、花街の情報通。
静とは気心の知れた友人。
浪人
※時間経過のモンタージュ
・由太が洗濯物を干す
・近所の子供に飴を配る
・お光に料理を振る舞い、褒められる
・花街の噂話を耳に入れる
(その後、薄暗い路地裏。静が覆面をし、着物を黒っぽく変えている)
静:
>京都の風は、日ごとにきな臭くなる。
>長州、薩摩、土佐、新選組。
>うごめく刃の間を縫って歩く者に、
>家事の腕など――本来、必要ない。
(暗がりで浪士たちと密談する静。合図の短い言葉だけ)
浪士:
「神無月殿、明夜、御所近くで動きがある」
静:
「承知した」
(静、去ろうとするがふと立ち止まる)
静:
>……だが、帰れば湯気の立つ味噌汁がある。
>それが、少しだけ――
>この身の剣を鈍らせる。




