シーン2 朝餉
(登場人物)
青井由太
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
トントントントン。
いつもの包丁の音。
静は鏡の前で髪を整えている。
由太:
「静さん」
静:
「何だ」
由太:
「卵一個しかない」
静:
「私はいらん」
由太:
「じゃあ俺が食べる」
静:
「お前も我慢しろ」
由太:
「なんで!?」
静:
「お光が来る」
由太:
「また?」
静:
「昨日そう言っていただろう」
由太:
「聞いてない」
静:
「お前は人の話を聞かんからな」
ガラッ。
お光:
「おはよー!」
由太:
「早い!」
お光:
「朝飯!」
由太:
「ここ飯屋じゃないんだけど」
お光:
「知ってる」
由太:
「じゃあなんで来るの」
お光:
「由太の朝飯、おいしいから」
由太:
「……」
静:
「嬉しそうな顔をするな」
由太:
「してない」
お光:
「してる」
由太:
「じゃあ卵はお光さんね」
お光:
「やった!」
静:
「由太」
由太:
「何?」
静:
「私の分は?」
由太:
「いらないって言ったじゃん」
静:
「卵はいらん。飯は食べる」
由太:
「ああ」
静:
「なぜ残念そうな顔をする」
由太:
「一人分減ると思ったのに」
静:
「本当に捨てるぞ」




