74/96
シーン6 置屋・お光の回想
(登場人物)
青井由太(19)
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静(26)
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
お光(26)
静と同い年の芸妓。明るく世話好きで噂好き。由太を弟分として可愛がっている。
帰宅。
お光が静の腕を見る。
お光:
「怪我したの!?」
静:
「かすり傷だ」
由太:
「四人に襲われた」
お光:
「四人?」
由太:
「静さん一人で全員倒した」
お光:
「でしょうね」
由太:
「……え?」
お光:
「何?」
由太:
「知ってたの?」
お光:
「もちろん」
由太:
「なんで教えてくれなかったの!」
お光:
「聞かれなかったから」
由太:
「前に聞いたじゃん!」
お光:
「あの時、静に止められた」
由太:
「ちなみに静さんって、どれくらい強いの?」
お光:
「昔ね――」
静:
「お光」
お光:
「はい」
由太:
「今度こそ教えて!」
お光:
「五人の浪人に囲まれたことがあって」
由太:
「五人!?」
静:
「お光」
お光:
「全員――」
静:
「明日から朝飯抜き」
お光:
「私、ここで食べなくても困らないもん」
静:
「……」
由太:
「強い」
お光:
「でしょ?」
静:
「お前まで勝ち誇るな」




