シーン1 置屋・朝
(登場人物)
青井由太(19)
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静(26)
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
お光(26)
静と同い年の芸妓。明るく世話好きで噂好き。由太を弟分として可愛がっている。
朝。
いつもの置屋。
トントントントン。
由太が大根を切っている。
由太:
「静さん」
静:
「何だ」
由太:
「前から聞きたかったんだけど」
静:
「金ならないぞ」
由太:
「まだ何も言ってない!」
静:
「では何だ」
由太は部屋の隅を見る。
そこには静の刀が置かれている。
由太:
「静さんって、刀使えるの?」
静:
「使えなければ持たん」
由太:
「どれくらい?」
静:
「何が」
由太:
「強さ」
静:
「さあな」
由太:
「新選組より強い?」
静:
「比べたことはない」
由太:
「十人くらい倒せる?」
静:
「講談の見過ぎだ」
由太:
「じゃあ五人?」
静:
「朝飯を作れ」
由太:
「三人?」
静:
「由太」
由太:
「はい」
静:
「黙らないと、お前で試すぞ」
由太:
「朝飯にします」
お光が入ってくる。
お光:
「おはよー」
由太:
「お光さん。静さんって強いの?」
お光:
「強いよ」
由太:
「どれくらい?」
お光:
「昔、三人の浪人に絡まれて――」
静:
「お光」
お光:
「はい」
静:
「余計なことを言うな」
由太:
「気になる!」
お光:
「三人とも――」
静:
「小遣いを減らすぞ」
由太:
「なんで俺!?」




