シーン2 置屋・昼過ぎ
(登場人物)
青井由太(19)
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静(26)
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
武市半平太(35)
土佐藩士。京で活動する尊王攘夷派の中心人物の一人。
昼過ぎ。
武市半平太が静を訪ねてきた。
武市:
「神無月殿。頼みたいことがある」
静:
「何でしょう」
武市:
「ある書状を運んでもらいたい」
懐から封書を出す。
静:
「届け先は?」
武市:
「伏見だ」
静:
「それだけなら、私でなくともよいでしょう」
武市:
「途中で襲われる可能性がある」
由太:
「危ないじゃん」
二人が由太を見る。
由太は団子を食べている。
武市:
「……なぜ君がいる」
由太:
「ここ俺の家ですよ」
静:
「私の家だ」
由太:
「俺も住んでる」
武市:
「相変わらずだな」
静:
「それで、誰に狙われているのです」
武市:
「書状の存在が漏れたらしい」
静:
「分かりました」
由太:
「断れば?」
静:
「仕事だ」
由太:
「危ないんでしょ?」
静:
「だから私に来た」
由太:
「……」
武市:
「神無月殿なら問題あるまい」
由太:
「なんで?」
武市:
「知らないのか」
由太:
「何を?」
武市は静を見る。
静:
「武市殿」
武市:
「失礼」
由太:
「だから何!?」




