シーン4 薩摩藩邸・数日後
(登場人物)
青井由太
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。
神無月静
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。
坂本龍馬
土佐藩士。京で活動する尊王攘夷派、後に海援隊を立ち上げる。
お龍
坂本龍馬と恋仲。
数日後。
龍馬たちは薩摩へ向かうことになった。
薩摩には霧島など温泉地がある。
龍馬の療養にも都合がいい。
出発前。
龍馬:
「由太!」
由太:
「はい」
龍馬:
「行ってくるぜよ!」
由太:
「いいなあ」
お龍:
「療養です」
由太:
「でも温泉入るんでしょ?」
お龍:
「入りますけど」
由太:
「二人で景色見たり?」
龍馬:
「するのう」
由太:
「美味しいもの食べたり?」
龍馬:
「そりゃ食う」
由太:
「……」
龍馬:
「どうした」
由太:
「羨ましい」
龍馬:
「おんしも静さんと行けばええ」
由太:
「それが行ってくれないんですよ!」
龍馬:
「口説け!」
由太:
「口説いてる!」
龍馬:
「もっと口説け!」
お龍:
「何の話をしてるんですか」
龍馬は笑う。
龍馬:
「由太」
由太:
「はい」
龍馬:
「礼を言う」
由太:
「何が?」
龍馬:
「わしは寺田屋で死にかけた」
由太:
「うん」
龍馬:
「これから先、また戦うことばかり考えちょった」
お龍が龍馬を見る。
龍馬:
「じゃが、おんしの話を聞いて思うた」
由太:
「何を?」
龍馬:
「生き延びたなら、生きることも楽しまんとな」
由太:
「……」
龍馬:
「傷を治して、少し遊んで、それからまた考える」
由太:
「それがいいよ」
龍馬:
「おんしらしい答えじゃ」
由太:
「俺、難しいこと嫌いだから」
龍馬:
「そこがええ」
龍馬とお龍は旅立っていった。
由太はその後ろ姿を見送る。
由太:
「……いいなあ」




