シーン6 豆腐屋 数日後
(登場人物)
青井由太(19)
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静(26)
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
吉田稔麿(23)
長州藩士。京で活動する尊王攘夷派の中心人物の一人。池田屋事件で死亡したとされているが、、、
数日後。
吉田の傷は歩ける程度まで回復した。
しかし新選組の探索は続いている。
静:
「今夜、京を出ます、桂殿には手配をつけました」
吉田:
「長州へ?」
静:
「直接は危険です。一度、大坂方面へ」
由太:
「船?」
静:
「そうだ」
由太:
「じゃあこれ」
由太が包みを渡す。
吉田:
「何だ」
由太:
「握り飯」
吉田:
「……」
由太:
「旅の途中で腹減るでしょ」
吉田:
「君は、人が命懸けで逃げる時にも食べ物の話をするのだな」
由太:
「腹減ると判断鈍るよ」
静:
「それだけは正しい」
吉田が包みを受け取る。
吉田:
「由太」
由太:
「なに」
吉田:
「この恩は忘れない」
由太:
「別にいいよ」
吉田:
「なぜ」
由太:
「返されると面倒だから」
吉田:
「……」
由太:
「生きてればそれで」
吉田はしばらく由太を見る。
そして深く頭を下げた。
吉田:
「ありがとう」
由太:
「うん」
吉田は静と共に闇へ消えていった。
本来なら、あの夜。
二十三歳で命を落とすはずだった長州藩士。
吉田稔麿。
彼は生き延びた。
そして――。
明治二十年代。
東京。
官邸の前に、大勢の人々が集まっている。
新聞売り:
「号外! 号外!」
新聞が空を舞う。
その紙面には、大きく一人の男の名が印刷されていた。
> **「吉田稔麿、新内閣を組織」**
今回は歴史を改変してしまいました。w
今後も、メインストーリーとは離れた、由太が引き起こすエピソードを書いていきます。
また、感想若しくは評価をいただけると光栄です。
よろしくお願いいたします。




