シーン3 豆腐屋 夜
(登場人物)
青井由太(19)
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静(26)
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
吉田稔麿(23)
長州藩士。京で活動する尊王攘夷派の中心人物の一人。池田屋事件で死亡したとされているが、、、
お春
由太は吉田を引きずるようにして路地を進む。
由太:
「重い……」
吉田:
「置いていけ」
由太:
「もうそこまで運んだんだから嫌」
吉田:
「どこへ行く」
由太:
「知らない」
吉田:
「知らない!?」
由太:
「今考えてる!」
角を曲がる。
そこには豆腐屋。
由太:
「あ」
店はもう閉まっている。
しかし裏口は開いていた。
由太:
「ここなら」
吉田:
「知り合いか?」
由太:
「豆腐まけてもらってる」
吉田:
「それだけか」
由太:
「それだけ」
吉田:
「無茶だ!」
由太は裏口を叩く。
由太:
「お春さーん!」
しばらくして、眠そうな娘が出る。
お春:
「由太さん?」
由太:
「ごめん、お願い」
お春:
「何?」
由太:
「人一人、隠して」
お春:
「……は?」
由太:
「怪我してる」
お春が吉田を見る。
お春:
「血!」
由太:
「声!」
お春:
「ご、ごめん!」
由太:
「新選組に追われてる」
お春:
「もっと駄目じゃない!」
由太:
「お願い!」
お春:
「なんで私が!」
由太:
「今度、静さんに頼んで髪結ってもらうから!」
お春:
「……」
由太:
「あと一週間、豆腐買う!」
お春:
「三週間!」
由太:
「高い!」
お春:
「命懸かってる!」
由太:
「二週間!」
お春:
「分かった!」
吉田:
「……それで決めるのか」
由太:
「京の町はこういうものです」
吉田:
「絶対違う」




