シーン2 街角 夜
(登場人物)
青井由太(19)
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静(26)
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
吉田稔麿(23)
長州藩士。京で活動する尊王攘夷派の中心人物の一人。池田屋事件で死亡したとされているが、、、
池田屋事件の頃。
青井由太は、呑気に夜道を歩いていた。
由太:
「静さん、帰り遅いって言ってたしなぁ」
手には小さな包み。
由太:
「お光さんも来るなら、団子六本じゃ足りないかな」
立ち止まる。
由太:
「……いや、八本買ったら小遣いなくなる」
少し考える。
由太:
「六本でいいや」
再び歩く。
すると。
路地の奥から物音。
ガタン。
由太:
「?」
覗き込む。
暗がりに誰かが倒れている。
由太:
「……酔っ払い?」
近づく。
血が見えた。
由太:
「うわっ!」
吉田:
「……逃げろ……」
由太:
「え?」
吉田:
「ここに……いてはいかん……」
由太:
「怪我してるじゃん!」
吉田:
「構うな……」
由太:
「いやいやいや、無理でしょ」
吉田:
「追われている……」
由太:
「誰に?」
遠くから声。
新選組隊士:
「こっちを探せ!」
由太:
「……あ」
吉田:
「だから……逃げろ……」
由太は吉田を見る。
次に声のする方向を見る。
由太:
「面倒だなぁ……」
吉田:
「……何?」
由太:
「俺、こういう面倒ごと嫌いなんだけど」
由太は吉田の腕を肩に回した。
吉田:
「何をしている!」
由太:
「助ける」
吉田:
「話を聞いていたのか!」
由太:
「聞いたよ」
吉田:
「なら逃げろ!」
由太:
「怪我人置いて逃げたら、後で飯まずくなるじゃん」
吉田:
「……意味が分からん」
由太:
「俺も分からない」




