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シーン9 路地

(登場人物)


青井由太(19)

江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。


神無月静(26)

由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。

由太はびしょ濡れで倒れている。


静:

「由太!」


駆け寄る。


静:

「怪我は!」


由太:

「……腰打った」


静:

「馬鹿者!」


由太:

「成功した?」


静:

「何がだ」


由太:

「誰も死んでない?」


静は周囲を見る。

侍たち。

町人。

逃げた浪士。

そして自分。


静:

「……ああ」


由太:

「じゃあ成功」


静:

「お前は……」


静は言葉を失う。


由太:

「痛い」


静:

「立てるか」


由太:

「無理」


静:

「仕方ない」


静が由太の腕を肩に回す。


由太:

「静さん」


静:

「何だ」


由太:

「今日の夕飯……」


静:

「まだ言うか」


由太:

「豆腐、お光さんに渡した」


静:

「……」


由太:

「冷奴にしようと思ってたのに」


静:

「帰ったら何か作れ」


由太:

「俺が?」


静:

「当然だ」


由太:

「怪我人なのに?」


静:

「ヒモにも仕事はあるのだろう?」


由太:

「鬼だ」


静:

「人を殺させなかった男が言うな」


由太は笑う。


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