シーン3 京都・花街の路地 夜
【登場人物】
青井 由太/19歳
江戸の裏長屋育ち。働くことは苦手だが、炊事・洗濯・掃除など生活能力は高い。
「女性に養ってもらう代わりに、その女性の生活を支える」という独自のヒモ哲学を持つ。
本人に歴史を変える意図はまったくないのに、何気ない親切や行動が幕末の重大事件を微妙に動かしてしまう。
神無月 静/26歳
白拍子・芸妓として活動する一方、裏では倒幕派に関係する女間者。剣術にも優れる。
由太を拾って「衣食住を与える代わりに家事を任せる」という関係になる。
由太より7歳年上で、基本的には姉・保護者・雇い主のような立場だが、次第に由太を対等な相棒として見るようになる
(賑やかな花街。行灯の灯り。三味線の音。静と由太が歩く)
由太:
「うわ、本物の花街……。
あっちこっちから女の人の声が……天国?」
静:
「地獄も紙一重だ。変なところに目をやるな」
由太:
「いやだって、あっちのお姉さんとか――」
(静、軽く頭をはたく)
由太:
「いっ!」
静:
「お前が見るのは、掃除する床と洗う茶碗だ。
ここが、お前の戦場だぞ」
由太:
「戦場の割に華やかすぎる……」
(置屋の門前に到着)
静:
「ここが私の世話になっている置屋だ。
お前も今日から、ここに転がり込む」
由太:
「ホントに? 夢じゃない?
叩いていい? 自分のほっぺ」
静:
「私が叩いてやろうか」
由太:
「やめてください」
(静、くすっと笑い、門をくぐる)




