28/96
シーン6 屋敷横の路地
(登場人物)
青井由太(19)
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静(26)
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
男・武市半平太(35)
土佐藩士。京で活動する尊王攘夷派の中心人物の一人。
浪人
屋敷近くの路地。
由太は息を切らしながら歩いている。
由太:
「静さん……どこ……」
男たちの声。
由太は反射的に物陰へ隠れる。
浪士A:
「火勢が強くなってきた」
浪士B:
「予定通りだ。神無月が警護を引きつける」
浪士A:
「標的は?」
浪士B:
「裏門から逃げるはずだ。そこで仕留める」
由太の顔から血の気が引く。
浪士A:
「神無月が斬るのか?」
浪士B:
「必要ならな」
由太:
「……」
二人が去る。
由太は壁にもたれる。
由太:
「暗殺……?」
静が人を殺す。
その姿を想像する。
由太:
「……嫌だ」
小さな声。
由太:
「それは嫌だ」




