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シーン5 屋敷近く
(登場人物)
青井由太(19)
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静(26)
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
男・武市半平太(35)
土佐藩士。京で活動する尊王攘夷派の中心人物の一人。
浪人
静は華やかな着物に着替えていた。
火事の赤い光が、その横顔を照らす。
浪士:
「裏門の警備は二人」
武市半平太:
「静が声を掛ければ、一人は動く」
静:
「もう一人は?」
浪士:
「斬る」
静:
「……」
浪士:
「まだ何か?」
静:
「いや」
静は懐の短刀に触れる。
武市半平太:
「本当に大丈夫か」
静:
「何が」
武市半平太:
「あなたらしくない」
静:
「私らしいとは何だ」
武市半平太:
「迷わない」
静:
「迷っていない」
武市半平太:
「ならいい」
武市半平太たちは闇へ消える。
一人になった静。
静:
「……」
ふと由太の声を思い出す。
『戦場帰りみたいな顔で飲むからさ、胃に優しい方がいいかなって』
静:
「馬鹿者……」
目を閉じる。
静:
「こんな時に思い出すな」
そして歩き出す。




