シーン7 置屋・夜
(登場人物)
青井由太(19)
江戸から京都へ流れ着き、静に拾われた青年。働くことは嫌いだが、料理・洗濯・掃除は得意。年上女性に可愛がられる才能と、本人に自覚のない情報収集能力を持つ。
神無月静(26)
由太の「飼い主」。表向きは花街で生きる女性だが、裏では倒幕派に関係する女間者。剣の腕も立つ。
お光(26)
静と同い年の芸妓。明るく世話好きで噂好き。由太を弟分として可愛がっている。
桂小五郎(31)
長州藩士。京で活動する尊王攘夷派の中心人物の一人。
由太が帰宅する。
静が待っている。
静:
「遅かったな」
由太:
「豆腐屋で話し込んじゃった」
静:
「何かあったか?」
由太:
「桂さんに会った」
静:
「何!?」
由太:
「なんでそんな驚くの?」
静:
「どこで」
由太:
「路地」
静:
「何を話した」
由太:
「新選組が探してるって教えてあげた」
静:
「……」
由太:
「あと、宿に戻らない方がいいって」
静:
「……由太」
由太:
「何?」
静:
「それは情報を渡したということだ」
由太:
「そうなの?」
静:
「しかも長州の重要人物に」
由太:
「でも知らないと捕まっちゃうでしょ?」
静:
「……」
由太:
「知り合いが捕まるの、寝覚め悪いし」
静は頭を抱える。
そこへお光が入ってくる。
お光:
「由太ー! 大変!」
由太:
「今度は何?」
お光:
「新選組がさっき、三条の宿に踏み込んだって!」
静:
「誰か捕まったか?」
お光:
「それが――」
お光は笑う。
お光:
「もぬけの殻!」
静が由太を見る。
由太:
「……」
お光:
「どうしたの?」
静:
「いや」
静は由太を見たまま言う。
静:
「何でもない」
由太:
「俺、悪いことした?」
静:
「……判断に困る」




