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目が覚めたら剣と魔法の世界でした  作者: 蜜柑
第一章 初めての異世界

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第十六話 兄として

ガディルはガルザル目掛けて二刀流の剣で斬りかかった。

ガルザルはガディルが斬りかかる姿を見てすぐさまカウンターの体勢に移った。

「なっ!」

「俺はガディル兄さんの剣技を見て剣を覚えたんだ!当たるわけがないだろぉ!」

ガルザルはガルディルの剣を受け流し、斬った。

そのつもりだった。

「まだまだだな!ガルザル!俺は兄!弟のすることなんて分かるさ!」

次男ガルザルは強い。だが、長男ガディルはさらに強い。なぜなら彼はガルディルとガルザルの兄だからだ。

そして、ガディルの強さはAランクの冒険者にも匹敵する。なぜなら彼が三人兄弟の長男だからだ。

ガディルは二刀流、対してガルザルは一刀流。

「いくぞ!ガルザル!」

「クソ!」

ガディルが一本の剣でガルザルの一本の剣を止めた。

その瞬間、ガディルのもう一本の剣がガルザルを斬っていた。

「ぐっ!」

斬られたガルザルがよろめいた。その瞬間、

「少し眠っていてもらうぞ!ガルザル!」

ガディルの最後の一太刀がガルザルに向かって放たれた。だが、その一太刀がガルザルに届くことは無かった。なぜなら、

「大丈夫ですか?ガルザル殿。すみませんね、あの狼の獣族がしぶとくて時間がかかってしまいました。」

ウルロとその仲間の獣族を三対二で倒したザベルがガディルを後ろから斬っていたからだ。

「クソ…」

ガディルは意識が途切れる前にガルディアのことを思い浮かべた。やがてガディルの意識が遠くなり沈む。そのはずだった。

「まだだ!」

ガディルは全身に自身の魔力を纏っていた。まるで自身の命を燃やすかのような、そんな魔力だった。

「ガルザル殿!少し離れてください!」

ザベルは珍しく焦っていた。

なぜなら、今目の前にいる全魔力を振り絞っている獣族の青年。三兄弟の長男であるガディルを自身の命を脅かす存在だと認識したからだ。

「ガルディアには何もさせない!奥義!獣魂絶界!」

ガディルの奥義。

それは、きまれば自身の命を絶命させることを代償に、本来なら絶対に出せないような一撃を与えることのできる獣族の里に伝わる禁忌である。

その禁忌の一撃がザベルに当たりそうになった時、ザベルがしたことは…

「これでも斬れますか!」

そうザベルは、自身の土魔法でガディルが奥義を発動する前に地面を操り、気絶していたウルロを引き寄せていたのである。

その瞬間、ガディルの魔力が途絶えた。

その隙をガルザルは見逃さなかった。

「ぐは!」

ガルザルはガディルを後ろから剣で刺していた。

「哀れですねぇ。ガディル。この狼の獣族ごと私を斬ればよかったものを…」

そう言い、引き寄せていたウルロをザベルはおもいっきり蹴飛ばした。

「ガディル兄さんは甘すぎるんだよ。手下一人斬り捨てられないから皆死ぬんだよ。」

そしてその時、ユウガたちがその現場に到着する。

「なっ!」

「ガディル兄ちゃん!」

ザベルがこちらを睨見つけてきた。

「なんですか?四人そろってまるで悪を見るような目で。」

「何やってんだ!なんでガディル達のパーティーを襲った!」

「なんで?決まっているでしょう。邪魔だからですよ。なのであなた達もここで死んでもらいます。いいですね?」

ザベルがユウガ目掛けて斬りかかってきた。だから、

「エージ!そこに気絶してるウルロってやつはまだ息がある!すぐに治癒魔法を!コイツは俺が引き受ける!」

「はい!」

その時、ガルディアは既にガルザル目掛けて斧で襲いかかっていた。

「クソ兄貴が!」

「兄に向かって酷い言いようだな。説教が必要なようだな!」

ガルディアとガルザルが戦い始めた時、エリスがガディルを治癒していた。

「ヒーリング!エージ!ガルディアのお兄さんは私が治したから!あの男の魔法使いは頼んだわよ!私はこっちの女の魔法使いを倒すから!」

「わかってますよ。では、いきますよ。」

「ファイアーアロー!」

敵の魔法使いがエージ目掛けて炎魔法を放ってきていた。

それに対してエージは、

「ウィンドカッター!」

炎魔法を風魔法で相殺した。

「どんどんいきますよ!風よ吹き荒れ すべてを巻き込め!ウィンドブレイク!」

ウィンドブレイクはエージが使える唯一の上級の風魔法だ。それに対抗するべく敵も、

「炎のは渦巻き 全てを飲み込む!ファイアートルネード!」

上級の炎魔法を放ってきた。

「やるな、クソ緑!今のは上級魔法だろ?」

「ええ、そちらもずいぶんお強いようで!」

エージは話している最中にも無詠唱で初級の風魔法を放っていた。

「話している間に打ってくるか!」

「すいませんね!僕も今、あんまり余裕がないので!」

エージが絶え間なく風魔法を放っている時、敵は

「ファイアーナックル!」

「ぐは!」

風魔法などお構いなしに炎を拳に纏い直接殴ってきた。

一発、二発、三発と、その拳の一撃は絶え間なく続いた。

「あなた、魔法使いやめて、武道家にでもなったらどうですか?見た目からして向いてますよ。きっと…」

「そうか!ありがとよ!筋肉には自身があるんだ!」

その間も敵はエージを殴り続けていた。

「オラオラオラ!」

ふっ飛ばされたエージはすぐさま自身に治癒魔法を使った。

「ハイヒーリング…」

エージが自身に使った治癒魔法は上級だ。

だから、すぐに敵につけられた傷は治った。

「やるな!治癒魔法の上級なんて滅多にできるやつがいないのに。」

「ほんとは僕、風魔法の戦いよりも治癒魔法での支援の方が得意なんですよ。」

「へー!それはすげー!ファイアーナックル!」

敵は回復したエージを見てすぐに殴りかかってきた。だが、

「二度も同じ手を食らうと思いますか?」

「なっ!」

敵がエージを殴るために一直線に走ってくる最中、いきなり地面から風魔法が放たれ、空中に投げ出されていた。

「トラップ式の魔法だと!?いつのまに…」

エージは殴られ続けている最中、敵の魔力に自身の魔力を隠しながらこっそりと、自身の風魔法の術式を地面に刻んでいた。

空中に体を投げ飛ばされている敵は隙だらけだ。

だから、

「風よ吹き荒れ すべてを巻き込め!ウィンドブレイク!」

エージは最高出力の風魔法を食らわせてやった。

「やるじゃねえか、クソ緑…」

次の瞬間、敵は気絶した。

エージは戦いに勝利したのだ。

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