第十四話 里
里に入って少し歩いたとき、エリスは少し興奮しながらユウガに話しかけていた。
「ユウガユウガ!」
「どうしたんだ、エリス。」
「ここ!温泉があるんですって!後で入ってもいい?いいでしょ?」
「別にいいけど。」
「やったー!温泉楽しみだなー!」
エリスはなんだかいつもと違っていた。そんなエリスを見てユウガは少し笑顔になっていた。
「クソが!お前らはそんなことのためにここに来やがったのかよ!ならさっさと入って帰れ!」
ガルディアはなぜかキレていた。
「どうしたんだガルディア?そんなにキレてよ。」
「うるせぇ!」
そこにエージが割り込んで話し始めた。
「ところでガルディア、君はこの里にある伝説の装備を知っていたりしますか?」
「ああ?伝説の装備だぁ?知らねぇよ!そんなん!」
その言葉を聞いたエージは少しガッカリしていた。
「そうですか…」
「そんなガッカリすんな!暇なときパパに聞いてやっから!」
「ありがとうございます。ガルディア。」
そのやりとりを聞いたユウガはガルディアに話しかけた。
「やっぱりお前優しいし、パパ呼びってなんか可愛いな。」
「うるせぇ!俺は優しくなんかねぇし!可愛くもねぇよ!」
ガルディアは少し顔が赤くなって照れているように見えた。だがやっぱりキレていた。
「そんなキレんなよガルディア、お前は本当はいい奴なんだから。」
「うっせぇよ!」
その時、近くで大きな音がした。それは何かとても大きいものが崩れたような音だった。
ユウガたちはすぐに駆けつけた。
「おい!何があったんだ!」
ガルディアが慌てた様子で近くにいた女性の獣族に話しかけた。
「いきなり家が崩れたんです。それと、中に主人が。」
それを聞いたガルディアは誰よりも速くよりも速く崩れた家の瓦礫をどかし始めた。
「俺達も手伝うぜガルディア!」
そう言い、ユウガ達も崩れた家の瓦礫をどかし始めた。
「クソが!手伝うならもっと速く手を動かせ!」
「分かってるよ!」
ガルディア達が早くに救助活動を始めてくれたおかげで早くに獣族の男性が助けられた。
だが、獣族の男性は体のいたるところから血が流れてしまっていた。
「大丈夫ですか。今すぐ治癒魔法を使うので、ヒーリング。」
すぐさまエージが治癒魔法を使ってくれたおかげで獣族の男性はすぐに落ち着いた。
「ありがとうございます。人間の皆さんにガルディア様」
「別にこれくらい、当たり前のことだもの。」
「だな!」
エリスが言った言葉にユウガは同意した。
そこで一つの疑問が生じた。
なぜいきなり家が崩壊したのか、その疑問に答えるかのように里に来ていた冒険者が近づいてきた。黒っぽい紫の髪に高い身長。腰には剣をさし、どこか自分に浸っているような人間だ。
「いやいやー、災難でしたねー。」
「お前は?」
「私はザベル。ザベル様って呼んでもいいですよ?」
「そうか、俺はユウガだよろしく。ところで、何でこの家が崩れたのか知らないか?」
「知りませんよ。家の作り方が雑だったんじゃないですか?」
ユウガがザベルの高級そうな服に目を向けるとザベルの服は少し土の汚れがついていた。
「それに、よろしくと言いましたか?何を言っているんですか?あなた方のような下級の冒険者と私が?笑わせないでください。私はAランク冒険者ですよ?」
Aランク冒険者ザベルはユウガを分かりやすいほどに見下していた。
ユウガ達は少しザベルに対してムカついていた。
「いきなり来て失礼なんじゃないですか?」
自分を高く見積もるザベルに最初に文句を言ったのはエリスだった。
「はい?下級冒険者のくせに私の前に姿を見せたあなた方の方が失礼では?」
「お前は常に自分を高く見積もらないと死んでしまうのか?」
「はい?もう一度聞かせてみなさい。」
ザベルは明らかにムカついていた。今すぐにユウガに斬りかかってもおかしくないほどに。
「お前、耳が腐ってるのか?」
次の瞬間、ザベルは腰の剣を抜き、ユウガに斬りかかっていた。
ユウガはそれを剣で難なく防ぎ
「何すんだ。いきなり危ないだろ。」
ザベルにそう問うと、
「あなたが悪いんですよ。私よりも弱いくせに調子に乗るから。まあいいです。あなた方はどうせすぐに死ぬ。私はこの里を出るのでもう二度と会うことはないでしょう。では、さようなら。」
そう言い残し、ザベルは里を出ていった。
「クソが!何だったんだアイツ!」
ガルディアはザベルにキレていた。
「アイツ家の作りが雑とか、好き勝手に言いやがって!」
そう言い、アベルを追いかけようとしているガルディアをエージが止めた。
「何すんだクソ!放せ!」
「あなたが行っても斬られるだけですよ。彼、確かに嫌な奴でしたが実力は本物のようでしたから。」
そこにエリスが
「でも、ガルディアの気持ちも分かるわ。あんな事言われたら怒るのは当然だもん。」
「しかもアイツ、いきなり俺に斬りかかってきやがった。」
「もう、会うことはないといいですね。」
「だな。」
その後、しばらく里の中を歩いているとガルディアが話し始めた。
「おい!人間!」
「なんだよ、ガルディア。」
「お前ら、少し俺に付き合え!」
「は?」
ガルディアはユウガたちを里の中で一番高い位置にある建物に連れてきていた。
「ここは?」
ユウガが問うとガルディアは
「俺の家だ。」
「何で急に?」
「実はな、お前らに手伝ってほしくてな。」
そう言い、ガルディアはユウガたちを家の中に案内した。すると、
「来たか、ガルディアよ。」
体が大きく、どこかガルディアに似ているライオンの獣族がガルディアを待っていた。
「あんたは?」
最初に口を開いたのはユウガだった。
「ふむ、まだ話していないのだな?ガルディアよ。」
「はい、そうです。」
いつも口調の荒いガルディアが丁寧な口調になっていた。
「俺はガルディアの父であり、獣族の長。ガーラ・ファングだ。」
そこにいたのは獣族の長だった。
理由は分からないが左目と右腕がなかった。
「俺はアマミヤ・ユウガだ。」
「私はエリス。」
「僕はエージ・サロバロスです。」
ガルディアの連れてきた人間たちの名前を聞き、少し間を空けると、ガーラが話し始めた。
「お前たちは獣神の儀というものを知っておるか?」
「獣神の儀?」
ユウガが聞き返すと、
「そうだ。獣神の儀というのはな、次の長を決める儀式のことだ。次の長はな、俺の息子三人、ガディル、ガルザル、ガルディア。この三人で最初に獣神の試練を乗り越え、獣神に覚醒した者が選ばれる。」
説明を聞いたユウガが聞いた。
「その儀式と俺達にどんな関係が?」
「獣神の試練は四人のパーティーで乗り越えねばならない。つまり、ガルディアがお前たちをそのパーティーに決めたということだろう。どうする?お前達はガルディアと共に試練を乗り越えるか?」
ガルディアが自分達を選んでくれたという事実にユウガ、エリス、エージの三人は内心嬉しくなっていた。だから、
「いいぜ!やってやるよ!」
「わかったわ!まかせて!」
「僕も頑張りますね。」
その返事を聞いたガルディアは
「クソが!ありがとよ!」
どこか嬉しそうにそう言った。




