第十三話 獣族
オガミの元を離れたユウガ達は獣族の里を目指していた。
「なあエージ、何で獣族の里に行きたいんだ?」
ユウガがエージに聞いたとき、エージは笑顔で答えた。
「だってですねユウガ、獣族の里には伝説の装備があると言われてるんですよ。」
「伝説の装備?」
ユウガが疑問に尋ねるとエージは詳しく興奮気味に説明してくれた。
「なんと、獣族の里にある伝説の装備っていうのは魔法の威力を底上げしてくれるらしいんですよ。魔王信仰軍と戦うのならば必要ではないでしょうか!」
「まぁ、それは大切だな。」
「エージは何でそんなに興奮してるの?」
横からエリスがエージに問いかけた。
「エリスさん!伝説の装備ですよ!興奮するに決まってるじゃないですか!」
「前から思ってたんだけどエージってもしかしてそういうの好きなのか?」
「当たり前じゃないですかユウガ!実は僕、歴史とか伝説に興味があってですね。」
エージが興奮しながら喋っていると前からライオンのような身長の小さい獣族の少年が現れた。
手には二つの金の斧を持っている。
「エージ、こいつが獣族か?」
「そうですね。まだ、年は10歳過ぎといったところでしょうか。」
「可愛らしい見た目なのはまだ子供だからなのね。」
三人が会話をしていると獣族の少年がキレ気味で話しかけてきた。
「俺が可愛いだと!ふざけるな!俺は立派で勇敢な獣族だ!」
威勢を張っている獣族の少年を見た三人の感想は同じだった。
「可愛いな。」
「可愛いですね。」
「可愛いわね。」
その感想を聞いた獣族の少年は更にキレていた。
「ふざけんじゃねぇ!俺は一人で魔物だって倒せるんだぞ!」
「そうか、それはすごいな、可愛いのに。」
「だから!可愛くねぇって言ってんだよ!」
「お前、面白いなー!俺の名前はユウガだ!アマミヤ・ユウガ!よろしくな!」
「俺は獣族の長の息子!ガルディアだ!ガルディア・ファングだ!」
獣族の長の息子と聞いたユウガは驚いていた。
「お前!長の息子だったのか!」
「ああ!そうだ!俺はすごいんだぞ!」
「へーすごいわね。私の名前はエリスよ、よろしくね、ガルディア。」
「僕の名前はエージ・サロバロスです。エージと呼んでください。」
エリスとエージのニ人も名前を名乗ったところでガルディアがキレた。
「何で俺がお前らとよろしくしなきゃいけないんだよ!」
「まあまあ、そんなにキレんなよガルディア。それとなガルディア、俺たち獣族の里を目指してんだ案内してくれないか?」
「クソが!悪いやつらでは無さそうだしな!ついてこい!」
ユウガはガルディアに聞かれないくらいの声でエリスとエージに話しかけた。
「ガルディアは常にキレてるけど、いい奴だな。」
「ですね。」
「私もそう思うわ。」
また、三人の考えは一致していた。
そうして、ガルディアがユウガたちを獣族の里の入り口まで案内したとき、変な三人組の獣族に絡まれた。
「よお、ガルディアちゃん。」
「ガルディアちゃんじゃねぇか。」
「何してんだ?ガルディアちゃん。」
三人はガルディアを馬鹿にしてるかのように話しかけてきた。
「クソが!またお前らかよ!」
「そんな斧持っちゃって人間も連れてよぉ、何してるんだよ。ガルディアちゃん。」
馬鹿にしたような口調でガルディアに話しかけてきた獣族にガルディアは反発した。
「お前には関係ないだろ!クソどもが!」
「いやいや、確かに関係ないかもだけどよぉ。でもいつも俺たちにボコボコにされてるからって、人間連れてきてるのかなって。そう思っちゃってねぇ。」
ガルディアとその獣族の会話にユウガが割り込んだ。
「お前たちはいつもガルディアをいじめてるのか?」
すかさず獣族が反論してきた。
「いやいやぁ、いじめてるんじゃないよぉ、ただ、生意気だから教育してあげてるだけ。」
「そ、俺はガルディアには獣族の里まで案内してもらった恩があるからな。」
次の瞬間、ユウガは思いっきりムカつく獣族をぶん殴っていた。
「やっちゃいましたね、ユウガ。まぁいいと思いますけど。」
「そうね、私もガルディアがいじめられてるなら無視できないもの。」
「お前らには関係ないだろ!何で俺のために!」
「だってよガルディア、もう俺たち友達だろ?」
その一言を聞いたガルディアは驚きを隠せていなかった。
「何言ってんだ!まだ名前を名乗っただけだろ!」
「ん?名前を名乗って、よろしくってしたらもう友達だろ。」
「頭おかしいんじゃねぇのか!お前!俺はまだお前のことを友達だとは思わねぇならな!」
ユウガとガルディアの会話に獣族が割り込んできた。
「おい!俺をぶん殴っといて!俺を無視してんじゃねぇよ!クソ人間!もういいぜ!お前は俺を本気にさせちまったな!見ろ!この剣を!」
獣族は黒い剣を自慢気に掲げていた。
「この剣はな!世界十大名剣の一つ!夜明けだ!」
「「「え?」」」
ユウガとエリス、エージの三人はそれを聞いて疑問しか頭に浮かばなかった。
「クソが!あれを出されたらマズイ!人間!今すぐ謝れ!」
「いや、ちょっと待ってくれ。」
「あ?今謝ってももう遅い!今すぐお前を斬り殺してやる!」
そう威勢を貼る獣族にユウガは問いかけた。
「それ、本物?」
「当たり前だろ!本物に決まってるだろ!これは、魔王を倒した英雄!オガミの愛剣だ!」
「ん?これじゃなくて?」
そう言い、ユウガは腰にさしてある漆黒の剣、本物の夜明けを取り出した。
「あ?それが夜明けだ?もしそうだとして、何でお前が持ってんだよ。」
「俺が英雄、オガミの弟子だから?」
「「は?」」
ガルディアと獣族は「何言ってんだコイツ。」そう思っていた。
「もしかして、疑ってる?ガルディアも獣族のやつも。」
「いや、人間、オガミって400年前の英雄だぞ?」
「そっか、もう皆死んだと思ってるのか。」
「まあ、無理ないでしょうね。僕たちも会うまでは死んでるものだと思ってましたから。」
それを聞いた獣族は半信半疑のまんま喋りだした。
「まあ、いい!次会ったときは覚悟しとけよカス人間!」
そう言い残し、獣族三人組は去っていった。
「おい!人間!」
「その、人間って呼び方やめてくれない?ガルディア。俺、名乗ったよね?」
「そんなんどうでもいい!どうゆうことだ!英雄が生きてるって!」
ユウガたちはすべてガルディアに話してあげた。
「マジかよ。お前ら、そんなやばいやつらだったのかよ。」
「まあ、そんなとこだな。とりあえず、里に入っていいか?」
「チッ!しねぇとは思うが、変なことはするなよ!人間!」
「だから、その人間って呼び方やめてくれない?」
そんなやり取りをしながらユウガたちは獣族の里に入っていった。




