第十二話 卒業
いつも通りに修行していた弟子に師匠は言った。
「これからお前に儂の三つある中の残り二つの奥義を教える、よーく見ておけ。」
「残り二つっていうことは一つはあの雷帝炎撃ってやつだよな?」
「ああ、そうだ。そして、今から教えるのは二つとも剣だ。今すぐではなくとも、いつか使えるようになってもらうからな。」
そう言いオガミは腰につけていた夕暮れを取り出した。その瞬間、夕暮れは紅く蒼い二色の炎で燃えたぎっていた。
「見とけよ、ユウガ。炎帝アマテラス!」
重く、大きい一撃だった。世界を焼き斬っていたのだ。まるで地獄から制裁されたかのように。
「この一撃はな、絶対に防げない。」
「絶対に防げない?」
「そうだ、たとえ相手がどんなスキルを持っていても必ず焼き斬ることができる。相手が魔王でもな。」
「魔王すら焼き斬る一撃…」
「そんなところだ。次は最後の奥義だ。」
そう言い師匠は雷を体に纏い始めた。
「雷神一閃!」
今度の一撃は速かった。この世界でも前の世界でも見たことのない速さで前へ突進し斬りかかっていた。
「速すぎる…」
いつの間にか戻って来ていた師匠が答えた。
「これは回避不可能な一撃だ。炎帝アマテラスは避けようと思えば避けれる。」
「いや、無理だろ。あのデカさの一撃は…」
「いやいや、斬撃なら避けれないかもだが、あれは大きいだけで飛ばしてはないからな、儂なら避けれる。」
「師匠ならできるかもだが、普通の人には無理だ。」
「それもそうだな。それと、今の剣技を忘れるなよ。」
「当たり前だ。あんなヤバい剣技を忘れる方がどうかしてるぜ。」
師匠はいつもと違う感じでユウガに話しかけた。
「ユウガよ、儂から一本とれ。卒業試験といったところだ。」
「は!?無理だろ!」
「そうか?お前なら一本取れるだろ。」
「いやいや…」
「夜明けを使え。」
「いいのか?使って」
「ああ。」
そうして、弟子と師匠の真剣勝負が始まった。
「じゃあ、始めるぞ。」
「おう!」
その時オガミは高速でユウガに斬りかかった。
「あっぶね!」
ユウガは間一髪で防ぎ、オガミに斬りかかった。
「雷炎斬!」
その一撃をオガミは簡単に避けた。
「うむ、やはり良くなったな。剣の筋が。」
「簡単に避けてるくせによく言うぜ!雷炎遠斬!」
この一撃はオガミの顔をかすった。
「斬撃が速くなっとるな。」
その時ユウガの雰囲気が変わった。
「スキル発動!解放者!」
ユウガは自身の周りに炎を纏い始めた。
「出力が上がったがユウガ!雷炎遠斬!」
オガミの放った斬撃をユウガはしっかりと受けてしまった。
「っ!」
―どうする?師匠には攻撃が当たんないのに師匠の攻撃は俺に当たる。このままだと俺は師匠から一本取れない!
「どうするつもりだ!ユウガ!」
「俺は!」
―師匠に勝つためには!
「こうする!」
ユウガの出力が更に上がった。オガミがそう思った時、
「纏う炎が蒼いな。そして、雷も纏っておるな。」
「炎撃斬!」
「っ!これは儂にも匹敵すると出力だな。」
「うおーーー!」
ユウガは叫びながらオガミに斬りかかったが。
「だが、魔力の扱いが雑すぎる。雷撃斬!」
「くそ!まだだ!炎帝斬!」
その一撃はオガミに届いた。
「やるじゃないか、ユウガ!お返しだ!雷帝斬!」
「雷帝斬!」
二つの雷の刃が交差したとき、天が割れた。
「すさまじいな!ユウガ!」
「師匠こそ!」
そのまま、ユウガとオガミは何回も剣を交えた。
「うおぉぉーーー!陽日撃!」
「轟雷!」
師匠と弟子の戦いは真剣であり、本気であった。だが、どこか楽しそうに二人は戦っていた。
「陽炎!」
「剣が炎で延びた!?オリジナルか!全く、自由な戦い方だな!」
「それが俺だろ!師匠!」
「そうだな!弟子よ!」
「豪炎激火!」
「轟雷連斬!」
ユウガの全力の一撃をオガミは一瞬で何度も斬りかかり勢いを止めた。そして、
「雷神タケミカヅチノカミ!」
光の速さを超える一撃ででユウガを打ち倒した。
―クソ…やっぱ師匠強すぎるだろ…
こうしてユウガは意識を失った。
「あれ、何でエリスがここに…」
「なんでって、ここがオガミさんの家だから?」
「え…そっか俺、意識を失って…」
「ユウガ、お前の剣は最高だったぞ。これで卒業だな。」
「師匠、でも俺は一本取れなかった。」
ユウガは少し納得いっていなかった。
「そうだな。逆に儂から一本とれると思ったのか?」
「取るつもりだったんだ。」
「なら次だな。」
「次?」
「そうだ。強くなれユウガ。そしてその時、儂から一本とれ。わかったな?」
「ああ、分かったよ。師匠。」
こうしてユウガは師匠による修行を卒業した。




