悲鳴のあの日 (第二話)
君と俺は手を繋いだまま歩いた。
爆発の中心地に。
歩けば歩くほど血の海がひろがる。もうただの肉塊が見える。人のカタチをした物、人のカタチをとどめなくなった物。人のカタチのものからはみ出した真っ赤な人間の器官達。
そして、聞こえる悲鳴。
うめき声。 叫び声。 絶叫。
ビルの倒れる音。 火が燃える音。 人が潰れる音。
テロの現場は阿鼻叫喚だった。
君は何も感じなさそうな瞳で歩いた。
はやく玩具屋に行きたい幼い子供のような足取りで。
君の瞳にも映っているであろうこの光景を片時も気にせづに。歩いていた。
俺もそんな君と同じで歩いた。
爆発音が大きかったように爆発の被害もおおきかった。
俺と君の助言をそのまんま受け取り実行したなら、爆発の中心地はまだここからは距離がある。
助言通りならここから一キロほど先だろう。
テロの主犯者は頭に大事な器官が入っていないから助言通りだろうけどね。
ピーポーピーポー
あぁ、国が国の犬来た。
思ったより早かったな。
この惨事のせいだろうか。
腐っている金持ちの強者が牛耳っている国だから来ないかと思っていた。
まぁ、その金持ちを巻き込んだんだけど。
そうしたら、国ははやく来るんだね。
国は来たんだね。
君はめんどくさそうに言った。
来てほしくなかったのだろう。俺も同意見だ。
ピーポーピーポー
こっちに近づいてくる。
爆心地に向かっている。
少し急ごう。
俺は言った。 君は頷いた。
突然、目の前に国の車が止まった。
「君らここは危ないから離れろ。」
今時にしたら珍しい人種だった。
心根が元々優しいのか。邪魔だったからなのか。それとも、本心で心配でもしているのだろうか。
ありえない人のこころを想像しているうちに、君はめんどくさそうに国の犬に黒い穴を向けた。
そして、躊躇いもなく黒い穴から出る弾丸の引き金を引いた。
バッン。
小さい爆発音がなった。
国の犬が倒れた。またひとつの血の海をつくりながら。
いこう。
俺にもう邪魔は消えたと。君は伝えて足をはやめた。
俺も足をはやめた。
今は昼の3時。
まだ太陽が光輝いている時間帯。
君に夜が来るのはまだ先のこと。
君が自分の目の前で不老不死になるまでまだ時間がある。
周りはあの時と同じ血の海だった。
違うところと言えば人の肉塊が多いところぐらいだろう。
自分は今テロの主犯として自分がおこした爆発の惨状を君と同じ何も感じていない瞳で見ている。
あの時を懐かしく焦がれそうに思いながら自分は爆発地に背を向けた。
自分はこれから君に逢いに行く。
そのための準備のために歩いた。
今は真冬の夜9時。
月が顔を出している時間帯。
自分に朝が来るのはまだ先のこと。
自分のテロは始まったばかりだ。




