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君と会ったあの日 (第三話)

君は歩く。 俺も歩く。

少し早足になりながらテロのおきた爆発地に向かっている。


あたりは綺麗な廃墟と化していた。

廃墟には珍しい赤い色が広がっているけれども。


君と俺は少し微笑みながら歩いた。


これから起こることがとても楽しみだ。


このテロの主犯は誰に助言をもらったか分かっていないのだろうね。

助言者が自分が捨てた娯楽の副産物だとは思うわけがないからね。


特に頭に何も詰まっていないアイツは自分の娘のことなんて頭から消えているだろう。

まっさらと。消えているだろうな。


だけど、君は覚えている。

忘れたくても忘れられない記憶として。

永遠に覚えているのだろうね。


俺は、忘れられたけれど。

君は、忘れられなかったから。



君と俺が会った時、君はとても綺麗だった。


顔も手も髪も足も全て赤く、紅く、赫く染まってた。

鈍く光る鉄の檻で俺たちは会った。


君は売られて、俺は捕まって奴隷として金持ちに売り飛ばされそうになっていた。


俺は捕まって真っ先に走り出した。

邪魔になる強者を殺しながら。


君は売られて同じ鉄の檻にいる同じ奴隷として売られる弱者を殺した。

止めに入った強者も同じく殺した。


君と俺は違う檻で互いに真っ赤に染まっていた。


俺が見た時君は、その何の感情もない瞳で動かない人のカタチをしたものを見つめながら、人のカタチだったものの中にあった柔らかい器官達を食べていた。


俺は聞いた。

 それは美味しいの?と。


声に反応して、

君は俺が今初めてそこにいると気づいたようだった。


君は嘲笑った。

 じゃぁ、他に腹を満たせるものがあるの?と。


確かに俺の腹も空いていた。 君も同じだったのだろう。


君が居る鉄の檻の扉を開けて君に近づいた。

そして、手に取った。どこの誰とも知らない人の眼球を。


口に運んだ。


グチュ。


眼球が潰れた音がした。


ぐちゃ。


さらに噛み砕いた。


ゴクッ。


眼球を飲み込んだ。


味なんてほとんどなかった。ただ地味な血の鉄の味が口に広がっただけだった。

だけど、確かに眼球ひとつでも少し腹は膨れた。


君は俺にあまり関心がないようだった。

ただ、人の中にある器官を食していた。


ぐちゃ。グチュ。グギュ。


人がどのように成り立っているかは知らないけど、神様はどうして人の器官を柔らかく作ったのかそれが本当にわからなくなるほどの薄気味悪い軽快な音だった。


君が人を食べる音以外ここからはなにも聞こえなくなった。


君は、食べ終わったのか静かな静寂の中僕をその何も感じないような瞳で見つめていた。


君は喋った。

 お前はもう食べないの?と。


僕は言った。

 全て、食べたら次の時食べるのがなくなるからね。と。


君はなるほどと納得した顔で俺をまた見つめた。


 確かに、それは残しておかないとね。

君は同意した。


それが、俺と君との出会いだった。

なんの光もない絶望の檻で会った。


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