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0.5%の恋  作者: まんぷくねこ


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第7話 オパール

付き合ってからは、世界が彩られているように感じた。

帰りの電車も夕日も、いつもの三倍増しで綺麗に見える。

大切にしよう。上田さんを。この恋を。

そう心に決めていた。


僕たちは週に三回くらいのペースで会っていた。

平日のうち二日は一緒に帰り、

いつもの公園のベンチに座って今日あったことを話していた。


土日のどちらかは部活終わりにデートをしていた。

僕は午前中が主流で、上田さんは午後か一日練習が多かった。

二人とも部活を引退するまで、そのルーティンが続いた。


僕は部活終わりに学校の周りを散歩したり、

部活のメンバーと遊んだりして時間を潰していた。

一番多かったのは、学校の近くに住んでいるシンタロウの家にお邪魔することだった。


話を付き合った当初に戻す。

そんな一週間を二回繰り返した頃だ。

花菜の誕生日が月末にあることを知った。

ごっちんが内緒で教えてくれた。


正直、まだ好みの物なんて何も知らない。

でも誕生日は迫っている。

僕はごっちんに、欲しいものを探ってほしいとお願いした。

コンビニのスイーツとの取引になった。

上田さんの好みがわかるなら構わない。


その日の夜、ごっちんから連絡が来た。

僕がスパイを送り込んだことは、すぐにバレたそうだ。

ごっちんの嘘をつけない性格からして、問い詰められたら白状する。

そうなる可能性も予想していた。


サプライズにはならないが、

上田さんの欲しいものがわかればいい。


ごっちんからの答えに、僕は驚きを隠せなかった。


上田さんは、

「欲しいものかー。あんま思い浮かばないなー。

あっ、1個だけあった。

欲しいものとはちょっと違うかもだけど……でも、内緒」

とのことだった。


勝手に「内緒」とジェスチャーしている上田さんを想像して、

可愛いと悶えるが、困った。

そんな焦りの中、僕はネックレスをあげることにした。


高校生の財力なんてたかが知れている。

そんな中で思いついたプレゼントである。

ブランドでも何でもないが、

私服でデートした時に見てみたいなと思って買った。

自信なんてないけど、気持ちはたくさん込めた。


女の子用のプレゼントなど買ったこともなかったので、

ラッピングの美しさに胸が温かくなった。

少しでも喜んでくれるといいな。


そんな準備をしながら、当日を迎えた。


平日の部活終わり。

豪華なディナーとはいかないけど、一緒にご飯を食べる約束をしていた。

なんの変哲もないファミレスだ。

夜になるから上田さんの家の近くにした。


ご飯を食べながら、いつもと変わらない他愛もない話を続ける。

上田さんは先週末の練習試合で少し試合に出たらしい。

活躍したとは言えないけど、いい経験になったそうで、

もっと上手になりたいとやる気に満ちていた。

部活に一生懸命な姿を見て、僕も頑張らなきゃなと思った。


そんな話をしながら、なかなかプレゼントを渡すことも

「おめでとう」も 言えないまま、

ご飯が終わってしまった。


上田さんを家に送る。

すると途中で、

「ここ、私が小さい頃によく遊んだ公園だよ」

と紹介してくれた。


滑り台が象になっているので、

みんな「ぞうさん公園」と呼んでいるらしい。


「少し寄っていこう」と誘われた。


ぞうさんと目が合う位置にあるブランコに座った。

「僕たち、どんだけ公園好きなの」

と笑い合う。


月の光なのか街灯なのか分からない。

でも、夜の何かに照らされている上田さんはとても綺麗だった。


上田さんは微笑んだような表情で僕を見る。

僕はようやく、

「遅くなってごめん。お誕生日おめでとう」

と伝えて、プレゼントを渡した。


「本当だよ。大切だからって緊張しすぎだよ」

と言いながら、クシャッと笑顔になっていて、

どんな表情よりも可愛かった。


「プレゼント開けていい?」

「いいよ」

「あ、ネックレスだ。めっちゃ可愛いね。つけてみようかな」


僕は「つけてあげるよ」とは言えなかった。

私服デートの時にと思って買ったけど、

制服でも似合っていると思った。


「どう?」

「似合ってるよ」


肝心なところで、

可愛い。と言えなかった。


「すごく考えたんでしょ?大変だった?

ごっちんにも、内緒ってしちゃったしーー」


上田さんからの質問が止まらない。

僕が見ても分かる。

上田さんが浮かれている。

でもそのおかげで、生の「内緒」をいただけた。

想像の完敗だった。


「ごっちんから聞いたよ。

でも、内緒の欲しいものが何か分からなくて気になるんだよね」


「そうだよね。

でも、ごっちんにじゃなくて、

直接言いたかったんだ。

私の欲しいもの」


「何が欲しかったの?」


「名前で呼んでほしいの。

呼んでくれる?」


「は、花菜」


「なーに?」


お互い、顔から火が出ていたと思う。


この日から僕は、花菜と呼ぶことにした。


花菜を家まで送った後、

自分がどうやって帰ったかは記憶がないが、

気づいたら寝る前の歯磨きをしていた。


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