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0.5%の恋  作者: まんぷくねこ


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第44話 とうてん


予備校の試験前に卒業式がやってきた。

楽しい高校生活だったことに間違いはないが

涙は出なかった。後悔もなく楽しみきった。


卒業アルバムの最後のページに

寄せ書きをし合う。

クラスの人や部活だけじゃない。

かつての友達にも貰いに行った。

その子達とも進路を話したり、

思い出話で盛り上がる。


けれども僕は花菜のクラスには行かなかった。

いや、行けなかった。

自信がなかった。


花菜と何を話せばいい

花菜の前でどんな顔が出来る。

そんな事を自問自答して

答えも出ないまま。


花菜へ告白し直すという

自分に課した約束は果たせそうになかった。


それでも気を遣ってくれている

メグちゃんと3人で遊ぶ会

僕はそこをラストチャンスだと思って

そこまでに自分の中でも答えを出そうと思っていた。


その前に僕の中で答えを出すべき事がある。

無事予備校の試験も終わり、

特待生枠を獲得し授業料が一部免除された。


親に報告をするとともに

つかの間の春休みを満喫する。

高3の頃とは明らかに異なり

自分の中で明確に切り替え方を決めていた。


そんな僕の春休みのある日

約束のために待ち合わせに向かう。

待ち合わせ場所には

女の子がすでに待っていた。


「ごめんね、遅くなったかな?」


「それでも待ち合わせの時間より早いよ。

 私達、どれだけ気遣ってんだろうね。」


そう言って笑うのは東さんだった。

東さんからも遊ぼうと誘われていた。

僕は1つの答えを持ってこの場所に来ていた。


カラオケに行きたいと東さんが言うので

ふたつ返事で了承する。


「ねぇ、アニソンとかボカロとか

 めっちゃ歌っていい?」


「全然かまわないよ、僕も大好きだし」


「周りにほとんどいないから、うれしい!」


「僕も他の友達と行くときは歌わないなー」


そんな話をしながら、

とにかく好きな歌を好きなままに歌った。

少し隠している趣味をつつみ隠さないで

さらけ出せることに

恥ずかしさと嬉しさが混じり

目が合う度に、

ドリンクバーで入れた炭酸ジュースを

大きめに一口飲み込む。


カラオケの後は

ゲームセンターでクレーンゲームを楽しむ。

東さんが欲しいと言ったぬいぐるみが

全く取れず、ムキになって3千円も使ってしまった。

「そのキャラ好きなんだ?」

「だって、少し似てる気がするから」

僕は誰に聞くの避けて

会話のキャッチボールをやめた。


「少しお茶しない?」

カフェに行くことを提案される。


ただ春休みということもあってか

思い当たるカフェは満席だった。


いい天気だった事もあり、

テイクアウトの飲み物を買って

歩きながら座れる場所を探す。


何となく目的地にしていた公園につく。

いつかのクラス打ち上げで花火をした公園。

もう高校生ではなくなる事に今更寂しさを感じる。

いつも僕は遅いんだ。後悔してから気づく。


「ここってどこのクラスも打ち上げに使うよね」

東さんが笑いながら話しかける


「そうだよね。

 僕は高1の時の打ち上げが初めてかなー」


「文化祭?」


「うん、そうだったかなー」

記憶があるのに僕は濁した。


「あの時、連絡先聞いたのが始まりだよね。」


「そうだっけ、そうだったかな」

何となく分かってた。

自分の中で答えを出したのに

とっさに避けてしまう。


「あのね、あの時から好きだったの。

 そして、今も好きなの。好きです。

 でもね今じゃなくていい。

 この1年は頑張ってほしいから」


「ありがとう。本当に嬉しいよ。

 でも気持ちに応えれそうになくて

 本当にごめん、ごめんなさい。」


1年間、東さんを縛る覚悟も

その期待に応える事も出来ないと思ったから。


「そうだよね、分かってた」

泣きそうな笑顔で、でも一番綺麗な表情をしていた。


「バカだなー」

聞こえるかどうか分からない声で

僕に言ってるのか自分に言ってるのか

分かんない声で東さんはつぶやいた。


その後2人で駅に向かう。

東さんはさっき告白したことが無かったかのように

普通に振る舞う。

きっと僕のほうが下手な振る舞いだった。


駅に着くと

「この1年頑張ってほしいのは本当だから

 志望校見つけて頑張ってね。」


「ありがとう。東さんも楽しんで」


そう言ってお別れをした。

東さん、本当にありがとう。


その日の夜

メグちゃんから

【予備校の試験お疲れ様!この1年ファイト!】

というメールが届く。

そのメールの宛先にはもう一人入っていた。

一度消したけど見覚えのあるメールアドレス。

そのアドレスの子も【ファイト!きっと大丈夫だよ!】

と僕を励ましてくれた。

花菜だ。

メグちゃんはそのメールに続けて、

3人で受験お疲れ様会をしようと連絡をくれた。

なんの脈略もない明からさまな会だが

僕はそれで構わない。


花菜に会えるならそれでいい。

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