第45話 あかつき
メグちゃんと花菜と会う3日前
僕は美容院に行く
少しでも魅力的に見えるように
来年の大学生を見据えて練習も兼ねて
色んな雑誌を見て
大学生の流行りの服装も勉強した。
受験勉強とは違い、楽しい。
束の間の春休みを楽しむ。
再び登録した濃いピンク色のメール通知
花菜から連絡だ。
どうやら風邪を引いたらしい。
残念ながら3人で合う日は延期となる。
家の場所も知ってるから
お見舞いにも行けたが
今はただの同級生なので
行かないと決める。
その後も日程を合わせようとするが、
メグちゃんがバイトだったり
2人とも大学の準備だったり
みんな意外と忙しく
少しのズレが積み重なって
会う間もなく入学式になった。
4月頃のメールでは
大学がどんな感じか
バイトやサークル、部活どうするか等
そんな大学生なりたての世間話をしていたが
気がつけばメールも途切れ途切れになり
明確にこの日ともなくメールは自然と打ち切られた。
その後、花菜とは会うことはなかった。
コレが僕の恋のお話。
当時の僕の目線からすれば
花菜への気持ちは
間違いなく愛だった。
別れを決めた花菜の気持ちが
あの時は分からなかったけど、
今は少しわかる気がする。
変わらない日々を求めていた僕に対して
花菜は変わっていく日々を共に歩きたかったのかな。
花菜は前を向き、僕はそんな花菜を見ていたから。
文句や不満が1つもない関係だったと思う。
でも、僕はワガママを言うのがこわかった
いや、だんだん怖くなっていったんだ。
いつからだろう
一度別れた時なのかな
僕は少しだけ臆病な自分を見つけた。
きっとあの日から
少し踏み込むことがこわくなったんだと思う。
いつからだろう
君からの連絡を待つようになったのは
君から連絡をもらうことで
僕は愛されてると実感するようになった。
いつからだろう
君に嫌って言えなくなったのは
君の考えに同意することでしか
愛を伝えられなくなった。
浪人が決まって、告白を諦めた。
僕は花菜を待たせたくないと思った。
待てなかった時に花菜を悪者にしたくなかったから
花菜を責める理由を作りたくない
それが僕なりの愛だった。
僕が少しでも素直になれていたなら
あの時僕が本音を飲み込まずに
吐き出してたら、ぶつけていたら、
あの頃の将来である今は何か変わってたのかな。
【今ならきっと幸せにできるかもしれない。】
そんな事、花菜に言ったら
なんて言われるかな?
まだ引きずってるの?とか
多分笑っていうのかな。
だから言い直すよ。
【今の僕ならもっと上手くやれてたのかな。】
こんな事を考えてしまったのも
僕は職場の近くの自販機で
花菜がよく飲んでたココアを
見つけて買ってしまったからもしれない。
プシュッ
ココアの缶を開ける。
あの時の思い出が流れ込むかのように
口の中に甘さが広がる。
それでも今の僕には3口も飲めそうに無かった。
君が言っていた
【恋人になる確率は0.5%】
もう一度、君と0.5%を始めることは出来ないけど、
僕はまた君の知らない誰かと0.5%を始めたいと思う。
僕は空を見上げるのをやめて
人混みに向かってまた歩き出す。
明日も仕事だ。
バイバイ、花菜。
君との日々は忘れない。
忘れない。
いや、本当は忘れたくない。
昔よりも素直になれた自分は、
自分にそう伝える事ができるようになったよ。
そうだ!
花菜との恋は終わってしまったけど
花菜との恋を小説にしよう。
それが話題になって、映画になるかもしれない。
いつか花菜の目に止まるかもしれない。
そして匿名で感想をくれたなら、
君にしか分からない言葉で、
この恋にありがとうと伝えるよ、なんてね。




