表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
0.5%の恋  作者: まんぷくねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/42

第41話 たそがれ

「迷ってる。迷ってるよ。」


そう彼女に言わせてしまった時点で

僕はきっとどこかで間違ってしまっていたんだ。




校外学習の翌日

いつも通りの日常がまた始まる。


今更だが

僕は改めて勉強する意味

そして、進路を見つめ直してみた。


それでも、やりたいことがあるわけでも、

大学生になりたい気持ちも、

かといって就職する覚悟も、

さっぱり無くて、僕は高校生でしかなかった。


何となく皆が行こうとしているから。

そんな気持ちで受験勉強を始めてしまったから。

だからモチベーションを保つことが難しかった。


いつの間にか

前日のテレビの話をしてる人はいなくなって

模試の結果や参考書の話ばかりに変わっている。


僕も本気になれないなりに

勉強を頑張ろうと、

娯楽の話を口に出さないようにしていた。


とっくに残暑もなくなり

ブレザーに袖を通すのが当たり前になってきて

母がふと、あと何回袖を通すかね。と

しみじみとつぶやく朝もあった。


徐々に受験科目の授業も

受験対策という名目の授業内容にかわりつつあった。


昼休みに珍しく花菜が会いに来てくれた。


「今日の放課後って塾?

 ないなら少し話したいなって」


「うん、塾ないよ」


「本当に?」


「ほんとう、ほんとう、嘘つかないよ」


「そっか、急にごめんね、じゃああとでね」


「おっけー、あとでね」


僕は直感なのか、

いや、花菜と長くいたからこそだろう。

それが楽しい約束ではないと確信していた。


何が良くなかったのかを

放課後まで振り返る。

それでも原因は思い当たらなかった。


こういう日に限って体感速度ははやく

放課後が来てしまう。


いつぶりかの公園

決まってミルクティーとココアを買った。


花菜が来る。


僕はココアを無言で差し出す。


「ありがと」


花菜はそう言って受け取った。


他愛もない話をしようとするにも

何も出てこない。


「久しぶりだよね。この公園

 すべり台の色変わった気がする」


「そうだね、なんかちょっと綺麗だし

 塗り変えられたのかなー。」


そう花菜が返事をくれたが

話を拡げられなかった。


「僕と別れたいとかそういう話?」


「察した?」


「言っても、結構長いじゃん。

 流石に分かるよ、花菜の表情くらい」


「わからないの。どうしたらいいか

 何が正解なのか

 迷ってる。迷ってるよ。」


「なんの迷い?」


「私といると良くない方向進んでるのかなって

 わがままだし、押し付けでしかないんだけど

 一生懸命なとことか好きだったから

 今、受験とかどういう気持ちでやってるのかなって」


「そっか。そうだよね。

 そういうとこも含めてだよね。

 僕は花菜の事好きだよ。

 でも受験にはたしかに本気になれてない」


「本気になってほしいって思って、

 大学は違うかもだけど

 一緒に頑張ってほしかった

 でも、今私といることが大事なのかなって」


「今の花菜は今しかいないじゃん」


「だから、なの。

 来年も一緒に笑っていたかったから」


「じゃあ受験まで距離をおくとかは?」


「ううん、

 ワガママなのは分かってるけど

 2学期くらいからそういう姿を見てきて

 その度に少しずつ好きって気持ちが

 分からなくなっちゃって

 それと少しずつすれ違ってきてるなっとも思って」


「それはさ、いや、なんでもない」


花菜に対して臆病になっている事を

伝えようと思ったが寸前で止めた

それを言ったって仕方がないし

そう思ってる自分がすれ違いを産んでいた。

それに気づいたからだった。


「気持ちは分かったよ。でも、花菜の事好きだよ。

 それでも僕は好きなんだよ。」


「わたしも嫌いになったわけじゃない。

 どうするのが正解かもわからない。」


「勉強優先で問題ないからさ、

 少しでいいから、考えてくれない?

 僕も頑張るから」


「結論がどうなっても次は受け止めるよ。

 ごめんね。」


「私こそ、ごめんね。

 私のワガママに振り回して」


「そんな事ないよ。言ってくれてありがとう。

 話は終わりかな。もう少しここにいたいからさ

 勉強とかするなら、今日はここで」


「分かった、バイバイ」


そういって花菜が小さくなっていくのを見送った。

こういう時、当たり前に空を見上げるんだな。

そんな事を思いながら空を見上げる。


きっともう花菜の中で答えは出ているんだと思う。

花菜は優しいから

これは花菜のためではなくて、僕のためなんだろう。

僕は目を閉じる。

ゆっくり目を開けた。

綺麗に塗られたすべり台を子供が滑っていた。


数日後の夜

花菜から端的なメールが届く。


【もう好きじゃない。】


彼女は悪者になることを選んだんだと思う。


だから僕は


今までありがとう。ずっと幸せだった。

だからこれから幸せになってほしい。そう願います。

そんな気持ちを込めて

【分かった。】と打ち込んで送信した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ