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0.5%の恋  作者: まんぷくねこ


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第31話 BYAKUGUN

あれから幾度となく練習を重ねた。

それでもコレで大丈夫と思えるわけもなく、

吉田にいたってはやればやるほど

コントは上達していくのに

ネタへの不安は膨れ上がっていくようだった。

そのため、クラスの何人かに協力を仰ぎ

ネタ見せに付き合ってもらった。

みんな面白いと言ってくれるので

何とかバランスをとっていた。


文化祭までの約2週間

花菜との時間は少なくなっていた。


僕は出店の内装とコント練習

花菜は部活と自クラスの文化祭と有志のダンス

時間が合いそうであわなかった。

一緒に帰れた日もどちらかが呼び出しで

不完全燃焼な別れもあった。


そのかわりメールの量が増える。

電話料金を気にして

電話はほとんどできなかった。


本番前のステージリハーサル。

昨年の劇の方が長尺で出演していたのに

今回のほうが緊張している。


照明による暑さ、

逆光によって観客の顔が見えないこと

声の反響具合

いつもの練習とは違い

間が取りづらかった。


コントターンが終わり

僕は青ざめた。

こんなので本番大丈夫なのだろうか。と


一方、吉田はハケたあとも

ステージ袖や観客席を険しい顔しながら

行ったり来たりしていた。


自分たちの劇の最中に

僕とタカヤが吉田に呼ばれる。


「全体的にゆっくりとハキハキ喋ろう。

 それでもきっと早口になる。

 それが丁度いいスピードになるはず。」


僕達は黙って頷く。


「体育館のステージの向かいの入り口あたり

 あそこは逆光でも見えるから、

 そこに座った人に向けてコントをするイメージで

 そこまで声を届けるイメージでう」


「委員長と話してきて、

 おそらくリハの時間が余る。

 その時間をもらったから、もう1回やってみよう。

 大丈夫。1回目は場の違いにやられただけ。」


吉田はいつの間にか頼もしくなっていた。

いや、本気なんだと思う。


劇が終わるやいなや

コントの準備にはいる。

他のクラスメイトも手伝ってくれている。

僕達のコントに期待してくれる事が伝わってきた。


コントが始まる

さっきよりもステージ上の雑味はなくなり

クリアに見渡せた。

吉田のアドバイスを信じ、演じる。

何とか通しとキーポイントの練習を

数カ所することができた。

クラスメイトも面白いと褒めてくれて

担任もお前らがこんな事できると思ってなかった。と

嬉しそうな表情をしていた。


当の本人である僕たちは

まだ改善しなければいけない部分に気づき

そこをどこまで詰めるかを各々考えていたと思う。


練習も一通り終わってところで

丁度有志組のリハ時間だった。

関係者以外は立ち入り禁止なのだが

僕はコッソリとのぞきにいった。


運命的に出番は花菜だった。

流行りのアイドルの曲で、

キュートというよりはクールな曲だった。


花菜のいつになく真面目な顔を見て

ドキッとした。

僕の見たことのない花菜がそこにいた。

本当に花菜がアイドルで

僕はファンのような。

手の届く距離にいる手の届かない星のような。


曲が終わり、次のグループと交代するためにハケる。

その一瞬、花菜がこちらを見て小さく手を振る

その顔はいつもの花菜だった。

僕は背中まで熱くなった。


ようやく落ち着いた頃には

バスケやってるから視野が広いのかな。

なんてとぼけたことを考えていた。


リハのために暗くしている体育館を出る

文化祭準備でも忙しくしている運動部の声

放課後なのに人で溢れている教室や廊下

大きな資材を運ぶ男子たち

看板やベニヤ板に色をつける女子たち

ちょこちょこ様子を見に来ていそうな先生

少しスペースのある中庭や駐車場では

音楽に合わせてダンスの練習をしている

そんな騒がしい景色と騒がしい音が

僕の目と耳を刺激する。


1年の時よりも、2年の時よりも

当たり前に楽しくて

当たり前に寂しい

いつまでも続いてほしいと

本気で願っているからかもしれない。


僕は自分の教室に戻り

そんな文化祭を作り上げる1人に戻る。


「機材運ぶから手伝ってー」


「おっけー!」


僕はまくり上げているシャツの袖を

さらにまくり上げる。

最後の文化祭を本気で楽しむためだと思う。


「本番うまくいくといいな。」


「めちゃくちゃ緊張してる。

 めっちゃ笑い声大きくしてよ。

 スタッフの笑い声が入るテレビ番組みたいに」


「オッケー、笑い声で笑わせるわ。」


「頼もしい。笑」


普段会話しないクラスメイトとも

この時だけは仲良く話す。


「コレ、どこ置いとけばいい?」


「あー、えーと、長机の横あたりに置いといて。」


「あいよ!」


大きなドラマなど無くてもキラキラしていた。

そんなありふれた日常が大好きだった。


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