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0.5%の恋  作者: まんぷくねこ


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第11話 キンギョソウ

ホワイトデーが終わると、すぐに春休みがやってきた。

高校生なんて中学の頃と「何も変わらないじゃないか」と思っていた頃を今では少し懐かしく感じる。

思い返せば、高校一年生はキラキラしていた。


もうすぐ先輩になる。

中学校と違い、高校の先輩は偉大で、追いつけない存在だった。

僕もそんな先輩になれるのだろうか。


春休みが明ければ年度初めの大会――

一つ上の先輩にとっては残り少ない大会だ。

その大会に向けて、部活は忙しく練習していた。

花菜のいるバスケ部は、それ以上に忙しそうだった。


その結果、春休みというわりには休みもなく、

花菜と会える時間も限られていた。

だからこそ、一回一回を、一分一分を大切にした。

少しも逸らさないように、花菜を目に焼き付けた。


花菜とは「後輩ができたらどうする?」なんて話もした。

「可愛い子が入ったら、すぐ釘付けになりそうで不安」と花菜が言う。


僕はすぐに返した。

「花菜は可愛い。花菜しか見てない」


面食いだと言われようが、盲目だと言われようが関係ない。


でも、面食いはちょっと違う。


最初は花菜の顔が可愛いと思った。

でも、知っていくうちに――

優しいところ、素直なところ、前向きなところ、

時々人見知りなところ、でも元気なところ、

やっぱり可愛いところ。

そんな花菜の“いい面”を熱く語った。


「もうやめて」と花菜は顔を赤くする。

「あと照れ屋なところも」


よそから見たら砂糖より甘いであろうやり取りを、

僕たちは本気でしていた。


4月9日。入学式。

同じ制服を着た見知らぬ顔の、キラキラした子たちを駅で見かける。

今日、僕は先輩になったのだと実感した。


入学式の少し前、クラス分けがあった。

理系か文系かの選択が必要で、僕は迷わず文系を選んだ。

花菜も文系だった。


同じクラスになるには、選択授業が重要だ――

そんなことを知らずに、僕は花菜に自分の選択授業を話してしまった。

花菜のソレとは少し違っていた。


今さら訂正する勇気はなかった。

あの時、言い直しておけばよかったのだろうか。


「同じクラスだったらいいね」と言うと、

花菜は少し考えてから答えた。


「どっちがいいんだろうね。

同じクラスの方が一緒にいられるけど、

一緒にいられないタイミングが嫌になっちゃうかもしれない」


当時の僕には、その言葉の意味が分からなかった。

花菜は僕より一回りも二回りも大人だった。


変わらず、部活終わりに公園で話す。

このルーティンにも慣れたものだ。


花菜はごっちんとタカヤと同じクラスになったらしい。

僕はシンタロウと同じクラスになった。

あと、東さんとも。


シンタロウは春休みに彼女ができたらしい。

平井美香さん。テニス部で、花菜とも仲がいいらしい。

今度一緒に遊ぼうという話になっている。


花菜は先輩を追い越してベンチ入りしたそうだ。

すごいな、と素直に思った。


僕は人数が少ないこともありチャンスは多い。

それでもレギュラーになったりならなかったり。

もっと頑張らなければ、と花菜を見て思った。


そんな二年生の始まりをお互いに報告し合い、

解散することになった。


変わらず花菜を駅まで送る。

改札でダラダラと話していたら、遠くから声がした。


「は、、、上田先輩?」


見た感じ、後輩のようだ。


「ワタルくん……久しぶり。

うちの高校に入ったんだね」


「ギリギリだったけどね、、、またバスケ部で頑張ろうと思います」


「そっか。頑張ってね」


僕もそのワタルくんと目が合い、軽く会釈をした。

ワタルくんは先に行った友達と駅に消えていった。


「後輩?」と僕が聞くと、

花菜は小さく答えた。


「うん……後輩」


涙は出ていないのに、

笑っているような、泣いているような表情だった。


「誕生日もうすぐだね。どうしよっかな?

楽しみにしててね。じゃあバイバイ」

笑顔で手を振る花菜。


「あのさ……いや、いいや。

うん、バイバイ」


僕は、なんとなくワタルくんのことを聞けなかった。


もうすぐ、僕の誕生日だ。

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