宝箱
宝箱の中身はお金だった。
横45センチから50センチ、高さ30センチ、奥行き30センチくらいの宝箱にぎっしりと金貨銀貨銅貨、白金貨まで色とりどり。
「まじか……いくらあるんだよこれ……」
贋金が混じっている可能性は極めて低いだろう。
元気いっぱいのオーガの体力を5人掛かりで削ってくれたあのパーティーには申し訳ないけど、この宝箱は俺が独り占めさせてもらう。
硬貨がたんまり詰まっている宝箱を持ち上げ、テントの中に運び込む。
ダンジョンから宝箱が運び出せるのかわからないけど。
「よっ、とぉ」
赤いベルベット生地と金箔で装飾されていた立派な宝箱が、テントの中に置いて数十秒で木製の箱に変化した。
「わお」
中のお金が無事だったので、収納箱をゲットできてラッキーくらいの感覚。
金貨と白金貨を数枚財布に入れ、テントをしまって階段を上がり、11階の石のテーブルでダンジョンの情報を更新。
「迷路系か」
11階は広大な、だだっ広い、どこまで行っても行き止まらない自然フィールドではなかった。タブレットのマッピング機能が大活躍する迷路系ダンジョン。
階段を探してダンジョンを縦横無尽に駆け回る無限マラソンをしなくてすむのはありがたい。
「さーて、帰ろ!」
回復ポーションを飲んだので、体力も魔力もまだダンジョンを捜索する分は残っているけど、11階ともなると数時間で攻略できる規模じゃないだろうし、臨時収入がたっぷり入ったので買い物に行きたい。
そろそろ家賃を払う頃だし、今の家を契約更新しないで家のランクを上げよう。
井戸水を汲み上げる作業、体力的には問題ないけどやっぱり面倒くさいし。設備のしっかりした家を借りたい。いや、むしろ、今なら家と土地を買えるんじゃないか?
1度家に帰って、テントの中で金勘定。
雑多に混じっている硬貨たちを色別に仕分けして、白金貨を丁寧に数える。
白金貨10枚の山が10個できたけど、まだ沢山ある。
色分けした他の硬貨を数える気力がなくなったので、大量にある薄緑の紙で包んで混ざらないようにだけして、箱に詰めなおし、白金貨で10枚の山を作る作業に戻る。
白金貨だけでも150枚あった。
白金貨1枚で金貨100枚。
金貨1枚で銀貨100枚。
銀貨1枚で銅貨50枚。
「……大金持ちじゃん!?」
臨時収入どころか、生涯年収を軽く超える額が一気に手に入った。
高額宝くじに当選したこの状況を、チャットメンバーに相談する。
彼らは別次元の世界にいるので、俺の金を盗むことはできないし、誰かに言いふらすこともできない。そういった面で、俺たちはお互いを信頼できるし、自分と完全に切り離して考えることができる。
【おめでとう! 今夜は豪華ディナーでお祝いだな!】
最初にコメントをくれたのは村の仕事が終わったグレン。
【大富豪の仲間入りおめでとう! 白金貨見た事ないから今度見せてもらうね】
しばらくして、ロージーからもお祝いコメントが届いた。
【建国しよう! 目指せ一国一城の主!】
ギュードンもお祝いしてくれたけど、残念ながら国を作るほどの資金ではない。
俺がオーガと戦っている時、山小屋に隠れていた奴隷ちゃんを無事保護したそうだ。奴隷を誘拐した犯人はまだ捕まっていないそうだけど、多分一生見つからないと思う。
【おめでとう。でも浮かれすぎ注意だぞ。防犯対策しっかり!】
アルファからは、身の回りの変化に気を付けるようにと注意があった。テントは常に持ち歩いているので、多分大丈夫だと返信しておく。
昨日は興奮して買い物どころじゃなかったので、1晩家でチャットして心を落ち着かせた。
今日こそ家をランクアップしに行くぞ!




