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スキルのレベルアップ

 初心者なので下準備が面倒だけど、魔法陣に置いた品が一瞬で別のものに変化するのは面白い。手品みたいだけど、タネも仕掛けもよくわからない錬金術。


「よし。次は紙を作るぞ!」


 初心者向けの中で、錬金術師見習いが1番最初に練習する空ビンと初級体力回復ポーションを無事1人で作り終えた俺は、調子に乗って次のレシピに手を出した。


 本によると、弟子入りした見習いたちは錬成に慣れるまでひたすら同じものを作るらしいけど、俺の体力に初級体力回復ポーションは不釣り合い。量産しても売れないんじゃ消費できないし、作れば作るほど大赤字。


 それに引き換え、低レベルでも作れる紙のレシピは必要な素材が少ない。

 草と水と木枠があれば錬成できる。

 ただし、かなり状態の悪い紙が出来上がるので、長期保存の重要書類なんかには使えない。


 庭に出て、生え放題になっている雑草を引っこ抜く。

 高級な紙だと必要な植物の種類も決まっているけど、俺が作ろうとしているのはザラ紙の中のザラ紙なので、草ならなんでもいいらしい。


 庭の草むしりをして、紙を作る。そしてその紙をメモ帳代わりに持ち歩く……素晴らしく無駄のない生産!


 庭にしゃがみこんでチマチマ雑草を根元から抜いていく。


 手の届く範囲に雑草がなくなったら、ちょっと移動してまたしゃがむ。その繰り返しで、抜いた草の山が庭に沢山できた。


 見た目の変化はないけど、時間を忘れて草むしりしても足腰にまったく疲労を感じない強靭な肉体は最高だ。


「えー。次の工程は――」


 レシピを読んで、草についている土を綺麗に洗い流す。

 綺麗になった草を濡れたまま木製のバケツにたっぷりいれて、地面に魔法陣を描く。

 そしてその上にバケツを置いて魔力を流す。


 錬金術が発動すると、バケツの中の草がドロドロに溶けて、液状化。

 それを用意した木枠の底に少し流し込んで、うすーく全体に伸ばすように木枠をあっちこっち傾けてまんべんなく行き渡らせる。


 何度か同じ工程を繰り返すと液体の通る道ができるのか、ちょっとたらして前後に揺さぶるだけで液体が全体的に広がるようになった。


 それをバケツの中の溶液がなくなるまで何層も何層も重ねて、バケツに残った溶液は井戸水で綺麗に洗って庭の端っこに捨てる。


 溶液がたっぷり入った木枠を魔法陣に乗せて魔力を流すと、薄緑色の紙が完成!


 木枠をひっくり返すと、何十枚もの紙が完成していた。

 流した溶液の量なのか、分厚かったり透けるほど薄かったりするけど、ちゃんと紙になっている。


「全部紙にしてやるぜ!」


 抜いた雑草たちは、放っておくと乾燥してしまう。


 紙の作成に使用する魔力は1回で20必要。

 今の残りの魔力が160なので、残り8回は連続で錬成できる。1時間もすれば自然回復で魔力は20ほど回復するので、8回やっても草が残っていたら、残りは自然回復後にやるつもりだった。


「はー。いい仕事したわー」


 6回錬成を繰り返したら、抜いた草がほぼなくなり、うちの庭は雑草のない綺麗な状態に生まれ変わった。


 大量の紙は、家のいろんなところに置いて、手拭きとか掃除用とか、マルチに活用しようと思う。


「ん?」


 綺麗になった庭を眺めていたら、タブレットがステータス画面を表示して近づいてきたのでそっちに目をやると、俺の錬金術スキルの表示が≪錬金術Lv2≫になっていた。


「お? おぉ!? スキルレベル上がってるじゃん!」


 魔力の最大値180という利点を生かし、普通の錬金術師見習いが1週間から10日くらいかけてやる作業を1日で終わらせた結果が、スキルのレベルアップという形でしっかりと反映されていた。




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