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ダンジョン7階

 全体的に劣化した防具を身にまとい、軽い状態異常攻撃を無効化してくれるブローチを着けて7階の入り口にやってきた。

 

 妖精石とポーション類はリュックや服のポケットに入れていつでも取り出せるようにして、氷剣を左、短剣を右の腰のベルトに通し、攻撃も回復もできるスペシャル装備。


 タブレットにはマップ作成と敵の発見をお願いして、未知の森を進んでいく。


「森っていうか、山だな」


 エレベーターの入り口から進むこと1時間。

 俺は地味な坂道を登っている。


 周囲の木々にはモンスター判定されたヘビや鳥がいるけど、虫は存在しないので快適だ。ヘビも鳥もノンアクティブのようで、こっちから攻撃をしかけない限り、襲ってこない。


 7階ではゴブリンが集団で行動していて、すでに3組のゴブリンたちを葬っているが、今のところドロップアイテムはハズレばかり。


 今日の稼ぎに不安になった俺は、ヘビを見つけたら今度から狩ることにした。


「毒持ちと毒無しがいるのか」


 タブレットのモンスター図鑑によると、赤と黒のまだら模様のヘビは毒を持っていて、噛まれると患部が腫れあがる。白と黒の横縞模様のヘビは毒を持っていないし、食用にもなるらしい。


 まあ、ダンジョンのモンスターは殺すと体が消えるので食うことはできないけど。


 この情報から、白黒のヘビは積極的に倒すことにした俺は、さっそくヘビに対して剣を振るう。


 木の枝で休んでいた白黒ヘビを枝ごと真っ二つに。ヘビの体は消えて、残ったのは切り落とした枝だけ。残念ながらドロップアイテムは無し。


「結構簡単だったな」


 相手が攻撃してこないっていうのは、俺が確実に先制攻撃できるので、1撃で仕留めればこっちは無傷だし体力も減らない。


「次は毒持ちいってみるか」


 地面を這って移動中の赤と黒のヘビを見つけたので、剣の先端を使って頭の部分からサックリ地面まで突き刺す。今度はピンク色の綺麗な石が手に入った。


「これは、宝石系?」


 タブレットに鑑定してもらうと、ピンクサファイアだった。特殊効果が付加されていて名称は『愛の女神の守護』それ以上はタブレットではわからない。


「……売ろうかな」


 見た目も綺麗だし、高く売れそうな品だ。


 ピンクサファイアをリュックにしまい、マップを広げるために前に向かって歩き続ける。


 今日は泊まりの準備をしていないので、帰りはエレベーターまでダッシュで帰る。今の俺なら、片道5時間かけて歩いた距離も、1時間程度で戻れる自信がある。


「ん? どうせ1人だし、律儀に歩く必要もないか」


 氷剣を鞘にしまい、ポケットから零れ落ちそうなポーションをリュックの中に避難させたら、ヘビを無視して森を軽くジョギングの速度で移動する。


 途中、オークを発見したので素早く倒して、ドロップアイテムを回収。チワーワは無視。ゴブリン集団は確実に狩って、チワーワからは逃げる。


 とんでもない長距離を走り続けた結果、タブレットのマップがおかしなことになっていたので、休憩ついでにステータスを確認し、初級体力回復ポーションを飲む。

 

 レベル13になって最大値253まで増えた俺の体力が、長距離ジョギングのせいで180に減っていた。


 体調的にはまだまだ走れるけど、体力を50回復するポーションを購入できるようになった今、10しか回復しない初級体力ポーションの在庫はちょっと邪魔なので、使える時に使う。


 体力を190に回復したところで、マップを縮小して今判明した7階の全体像を確認してみると、そろそろ7階のエリアをぐるっと1周するらしく、すでに前方のマップが埋まっている状態になっている。


「今日はこのまま帰ろ」

 

 偶然だけどスタート地点に戻って来た形になったので、最後は歩いてモンスターを倒しながら行くことにした。ポーションを飲んだのは無駄になってしまったけど、まあ、その分50回復する体力ポーションを新たに購入するので問題はない。


 せっかくなので鳥のモンスターを倒そうと思い狙ってみたところ、殺気に敏感に反応して素早く空に逃げてしまうので、1羽も倒せないまま今日のゴールでありスタート地点でもあるエレベータに到着してしまった。


「次の目標は、鳥を狩ることと、8階への階段探しだな」


 今日のドロップアイテム9点を買い取りに出し、金貨10枚と銀貨2枚、銅貨30枚の収入。ピンクサファイアの買い取り価格が金貨10枚。コレが出なければ今日の稼ぎが銀貨2枚銅貨30枚になるところだった。


 ドロップアイテムの当たり外れの差はかなり大きい。


「……5階の周回をメインでやってもいいかもなぁ」


 5階は宝箱からのドロップなのでショボいものはあまり出ない。ソロで周回するなら、それなりの稼ぎになりそうだ。


 だけど、もう少し頑張れば10階まで行けるかもしれない。

 5階がボス戦だったので10階もボス戦じゃないかと思って本を片っ端から調べてみたら、10階はオーガという鬼のモンスターだった。


「んー。とりあえず8階を目指すの優先すっか」


 ダンジョン地区を後にして、馬車に乗り込み自宅へ帰る。


「ただいまー」


 誰も出迎えてくれない俺の家。

 風呂も食事も自分でどうにかしないといけないけど、食事は外で買ってくるだけだし、風呂のための水汲みもレベルが上がった今の俺なら苦もなく終わる。


「はー。今日も疲れた」


 ゆったり湯船につかって、のんびりバスタイム。


 共同風呂の広い湯船も好きだけど、自分1人だけの狭い湯船も最高だ。


 ピンクサファイアのおかげで経済状況は安定したし、明日は錬金術を学ぶ準備をしよう。 

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