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チャッ友と俺と使命

 宿に帰りついたので、風呂に直行。

 ボディーソープもせっけんもないから、肌触りの悪いタオルを濡らしてゴシゴシこする。髪もお湯洗い。ヘアワックスを使ってないから、多分これで綺麗になるだろう。きっと。


 風呂を上がって、夕食を食べたら、ベッドでゴロゴロチャットタイム。


「マジかー。どうすっかな」


 領主の屋敷へ行ったアルファとギュードンは、騎士団の数人と共にレベル上げをすることになったようだ。この町で唯一レベル30越えを達成している騎士団長が同行してくれるので、安心安全のパワーレベリング。団長以外で気に入った騎士がいたら、そのまま旅に連れて行ってもいいらしい。


 ただし、女性騎士は同行メンバーとして紹介されなかったので、選べない。


「キャリーされてレベル上げか」


 レベル20くらいまで騎士団におんぶに抱っこでいけるとか、ゲームなら微妙だけど現実だと正直うらやましい。


 しかも、騎士団長はゲームのアーチェスを開始してすぐのチュートリアルで数分間お世話になったNPCのそっくりさん。アルファいわく、本人だろう……という事は、もしかしたら、領主の屋敷に行ってやっとチュートリアルが始まるのかもしれない。


 欠点としては、ダンジョンに行く暇がしばらくないってところと、自分の行動が自由に決められないってとこ。


 神様の使命で旅をすることが決定しているアルファは、この町の周辺でレベル20になるまでレベル上げ。レベル20になったらこの国の王都へ行き、王様に謁見してからやっと自由行動できる予定。


 異世界から来た救世主であるギュードンは、騎士団とレベル上げをしながら領主と共に王都へ向けて旅立つ。


「んー。レベル20は魅力的だよなぁ。スキルも増やせるし」


 聖女ちゃんのレベルも一緒に上がるので、回復サポート力もかなり上昇すると言われたらしいし。


 更にアルファとギュードンの旅立ちの支度は領主主導で行われるので、スキルオーブは選び放題。


 ギュードンはスキル枠限界まで覚えてスキルを10も取得。アルファはあき枠を2つ残し。

 この世界、スキルがなくてもできるけど、スキルが芽生えているとなにかと効率がいいから覚えられるなら沢山覚えたい。


 俺も神殿に行けば、自由と引き換えに聖女ちゃんが仲間になって、スキル覚え放題で、レベル20まで簡単にいけて、お金の心配も必要なくなる。そのまましばらく領主の計画した予定通り行動して、レベル20になって王様に挨拶したら好条件はそのまま、自由が戻ってくる。


「でもなぁ……」


 よく考えたら、聖女ちゃんを連れて神から与えられた試練の旅に出るってことは、どこかに落ち着いて生活するっていう選択肢が選べなくなるわけで。

 この世界で俺のアイドル候補のギルド受付嬢にも気軽に会いに来れなくなる。


 今日1日、この世界で冒険者として新生活を送ってみて、地道なレベル上げやダンジョン攻略にも楽しめそうな気配があった。


「崩壊の原因を突き止めるなら、権力者に近づいた方がいいんだろうけど……」


 そもそもこの世界は単純に詰んでいるので、現地の協力者とか権力者とか神様代理のフランス人形が味方にいても、俺の勝ち筋は見つからない。

 

 もう少し自分で生活してみて、ダメそうなら神殿に行こうと決めた。


 チャットに【俺、もうしばらく自由満喫する】と書き込むと、皆から頑張れと応援されたので、俺も先行組と最初の村で警備員しているグレンを応援しておく。


 一通り皆の現状把握が終わったところで、ギュードンの奴隷ハーレム話が広がっていった。


 この世界にも奴隷はいるけど、絶対服従の奴隷の首輪とか、奴隷の契約魔法みたいなものが存在してない。奴隷が本気になれば主人を攻撃できるし、逃げられるので、ギュードンの求めている奴隷とはちょっと違う。 


 そもそも住む家があって初めて家の仕事をする奴隷が必要って感覚らしく、旅の間ずっと奴隷を連れ歩くのはリスクが高すぎると言われたようだ。


「奴隷は家事専用ってことね」


 奴隷を戦闘用に育てるとか、旅に連れ歩いて食事の世話をさせるとか、そういう使い方はしないようだ。強くなった奴隷が襲い掛かってくるかもしれないし、旅の途中なら奴隷が逃げる隙は沢山あるから。


 きちんとした手続きで雇った私兵とか、旅の目的が同じ仲間とか、そういう人たちと行動するのが基本らしい。それでも裏切る奴はいるっていうんだから恐ろしい。


 もっと恐ろしいのは、そんな説明を受けてなお奴隷ハーレムを諦めないギュードンのハーレムへの憧れかもしれないけど……。



 夜11時まで語り合った俺たちは、この世界でそれぞれ自分の道を歩き始めた。

  

 

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