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時間が、曲がった時



時計塔の下――


……


俺はサムラカンを見た。


「よく聞け、甘ったれ。」


「これから起こることは……」


「俺たち二人だけの秘密だ。」


俺を見るなり、あくびをする。


「どうして?」


「何が起こるの?」


……


「こいつ……殺していいか?」


……


ドォン……


……


「まあいい。」


「今のが答えってことにしておこう。」


……


ゴホッ……


ゴホッ……


……


咳をするたびに……


口から、さらに血が流れた。


……


サムラカン:


「フィン……」


「怪我してるの?」


……


「見れば分かるだろうが!」


「どこが無傷に見えるんだよ、豆粒頭!」


「意味のない質問はやめろ。」


……


サムラカン:


「え……?」


……


ハァ……


ハァ……


ハァ……


……


「くそ……」


「本当に、周りの景色が回っているような気がしてきた。」


……


「どうして俺は、いつも骨を折って終わるんだ?」


……


フッ……


「案内役……」


「準備はできてるか?」


通知:


〈準備が完了しました。〉


……


俺はサムラカンの方を見る。


「今からやることは、俺たちが生き残るために必要なことだ。」


「だが、何が起こるのかまで知る必要はない。」


サムラカン:


「え?」


「具体的には……よく分からないんだけど……」


……


「分からなくていい。」


「豆粒みたいな頭なんだから。」


……


サムラカンは、静かに自分の頭へ手を置いた。


サムラカン:


「失礼だな。」


「僕の頭は豆粒じゃない。」


……


「たぶん……」


……


「うん。」


「たぶん、本当にそうなんだろうな。」


……


しばらくして……


サムラカンが俺の前に座った。


背中をこちらへ向けて。


……


「頼むぞ、ポンコツ。」


通知:


〈この作業の成功率は、フィンの集中力に依存します。〉


……


「それは……」


「まったく安心できる情報じゃないな。」


……


「それに、俺は我らが英雄様に面倒な仕事を任せている。」


「できる限り、あの魔物の注意を引きつけること。」


「さっき何人か兵士も来たし……」


「少しは、あいつの負担も減るだろう。」


……


「だが、すべては……」


「俺がこの作業を終えるまでに、どれだけ時間がかかるかにかかっている。」


……


俺は深く息を吸った。


「よし……始めよう。」


……


俺は手を上げた。


……


ルービックキューブが、目の前に現れるところを想像する。


……


細い光の糸が、手のひらの上へ伸びていく。


絡み合い。


互いの周りを回り。


そして、少しずつ一つにまとまっていく……


……


やがて――


完全な立方体を形作った。


……


キューブは、俺の手のひらの上でゆっくりと回転している。


……


「さて……」


「次はどうするんだ、ポンコツ?」


通知:


〈私はポンコ……〉


「いい加減にしろ!」


「今は言い争ってる場合じゃない!」


通知:


〈キューブが空中に浮かぶところを想像してください。〉


……


「浮かぶ……?」


……


「空を飛ぶ何か……」


「なるほど。」


俺は強く目を閉じた。


「浮かぶ……」


「浮かぶ……」


「浮かぶ……」


……


何度も、その言葉を繰り返した。


一度。


また一度。


……


そして――


何かが、一瞬だけ俺から離れたような感覚がした。


……


身体の中を、奇妙な鼓動が駆け抜ける。


……


「なんだ……?」


通知:


〈成功しました。〉


……


「本当に!?」


……


俺は空を見上げた。


そこには――


本当にキューブがあった。


空の真ん中に。


……


だが……


その周囲には、何かがあった。


俺には理解できない何かが。


……


キューブの近くにある光が、奇妙に歪み始める。


完全に消えたわけじゃない。


……


ただ――


曲がっている。


まるで、空そのものがキューブを中心に歪み始めたかのように。


……


雲が、一瞬だけ止まった。


そして――


ゆっくりとキューブの方へ流れ始める。


……


「なんだ……?」


……


もう、キューブをはっきり見ることができない。


その輪郭が歪んでいる。


まるで、見えない何かが周囲の空間を押し潰しているようだった。


……


「案内役……」


「どうしてだ?」


「なんだか……おかしい気がするんだけど。」


通知:


〈……〉


……


「この沈黙……」


「嫌な予感しかしない。」


広場では――


ドォォォン!!


……


再び大地が爆発した。


一人の兵士が、激しい勢いで後方へ吹き飛ばされる。


「うわああああっ!!」


「はぁ……はぁ……」


「骨が……折れた……」


「俺たちは……いったい何を相手にしてるんだ?」


「くそっ……まったく分からない!」


……


兵士は、ふらつきながら立ち上がった。


そして――


空へ目を向ける。


……


動きが止まった。


「……え?」


「なんだ……あれ……?」


……


震える指を空へ向ける。


「み……見ろ!」


……


他の兵士たちが、少しだけ後退する。


「何がある!?」


「今は気を散らしている場合じゃない!」


……


「いいから、見ろ!」


……


全員が顔を上げた。


……


空の一部が――


光を反射していなかった。


……


小さな黒い点。


だが、それは夜の闇とは違う黒だった。


もっと深い。


……


その奥には、何も存在しない。


まるで――


そこだけ、空間そのものが抜け落ちているかのようだった。


……


周囲の雲が、ゆっくりと回り始める。


そして――


その速度を増していく。


……


地面の埃が舞い上がった。


だが、周囲へ散っていくことはなかった。


……


上へ。


空へ向かって――


吸い上げられていく。


……


「おい、おい……」


「いったい……何が起こってるんだ?」


……


いくつかの瓦礫が、その黒い斑点へと近づいていった。


そして、空中で軌道を変える。


……


消えた。


……


静寂が訪れた。


……


サムラカン:


「何が起きている?」


「どうしてみんな、そんなに驚いているんだ?」


……


顔を上げる。


……


目を見開いた。


「なんだ……?」


……


その周囲で、空気そのものが震え始めた。


やがて、立ち込めていた煙の柱が、その場所へ向かって傾いていく。


地面に散らばっていた瓦礫も、ゆっくりと動き始めた。


……


まるで、目に見えない何かに引っ張られているかのように。


……


そして――


黒い闇の中へと消えていった。


……


「うおお……」


「これは……普通じゃない。」


……


「俺はいったい、何を作ったんだ?」


……


【通知:


〈キューブはすでに解析されています。〉


〈キューブには、二つの基本スキルが存在します。〉


〈『暴食』。〉


〈そして――『発現』。〉】


……


「はぁぁぁ!?」


「いつからキューブにスキルなんてあったんだよ!?」


「最初はただ、俺のスキルを入れておくためのキューブだっただろ!?」


「しかも、そのスキル自体が役に立たないものばっかりだったじゃないか!」


【通知:


〈キューブの解析は完了していません。〉


〈しかし、対象・フィンの成長および新たなスキルの獲得に伴い、キューブもまた変化しています。〉】


……


「うおお……」


「こいつ……周りのものを全部吸い込んでるぞ!」


【通知:


〈警告。〉


〈キューブが所持者から離れたことにより、不安定な状態へ移行しました。〉】


……


「……」


……


「正直……」


「何が起きているのか、完全には理解できていない。」


……


だが――


俺の中の何かが告げていた。


これはまずい。


……


いや。


かなりまずい。


……


【通知:


〈対象・フィンは、『暴食』の安定を維持するための基点となっていた可能性があります。〉


〈キューブが対象から離れたことで、スキルが制御範囲を逸脱しました。〉


〈その範囲内に入ったものは、すべて中心へと引き寄せられます。〉】


……


俺の顔が固まった。


……


「つまり……」


「俺、世界を滅ぼしかねないものを作っちゃったってことか?」


……


深く息を吸う。


「このポンコツ……!」


「お前が、これを俺から離せって言ったんだろ!」


「もしこんなことになるって分かってたなら……」


「どうして世界を滅ぼしかねない方法を俺に勧めたんだよ!?」


【通知:


〈……〉】


……


「この沈黙……」


「嫌いなんだけど。」


……


「最高だな。」


「おい、黙るなよ。」


……


空を見上げる。


黒い領域が、さらに広がっていた。


……


その周囲にある小さなものが、次々と引き寄せられていく。


砂埃。


瓦礫。


木片。


……


そして――


近くの噴水から飛び散った水滴までもが、軌道を曲げていく。


……


「なあ、ガイド……」


「これ、もうキューブじゃないだろ。」


「宇宙規模の罠じゃないか。」


……


「頼むから、このシナリオ……」


「この役立たずスキル、別のものと交換させてくれ。」


「俺の人生を壊そうとしてるだけじゃ足りないのか?」


「今度は、この錆びた塊が世界まで壊そうとしてるぞ!」


【通知:


〈この状態を発動するのは、『発現』を完了させるために必要でした。〉


〈ただし、長時間維持することは推奨されません。〉


〈現在、キューブは完全には制御不能となっていません。〉】


……


「くそっ……」


「もういい。」


「俺が望んだのは、この世界で平穏に暮らすことだ!」


「死んだ後に――」


「もう一度、別の人生を送ることじゃない!」


【通知:


〈この状態が継続した場合、次の段階はさらに困難になるでしょう。〉】


……


「はぁ……」


「はぁ……」


……


「くそ……」


「なんで俺が持ってるスキルって……」


「役に立たないか……」


「世界を滅ぼそうとするかの二択なんだよ……?」


……


サムラカン:


「フィン?」


「何が起きているのか分かるのか?」


……


「アハハハハ……」


「心配するな、友よ。」


……


「まあ……」


「正直に言えば――」


「もう心配する必要はないと思うぞ。」


「アハハハハ……」


……


「そして……」


「これで物語は終わりだ。」


……


「もちろん……」


「こんなところで終わるわけがない。」


……


「たぶん。」


……


俺は強く目を閉じた。


「なあ、ポンコツ……」


「俺はどうすればいい?」


【通知:


〈キューブが対象・フィンの範囲内にある場合、対象・フィンは物体が引き寄せられる中心点となります。〉


〈自分自身がその中心点であると想像してください。〉


〈そして、その一点に意識を集中してください。〉】


……


「つまり……」


「狂った装置が原因で……」


「俺に狂った計画を実行させて……」


「狂った戦いから自分を救って……」


「そのうえ、世界全体が消えるのまで防げっていうのか……」


……


「俺……」


「自分の人生について、本でも書いたほうがいいんじゃないか?」


……


「くそっ。」


「集中しろ、フィン。」


「本を書く前に死んだら、全部無駄だぞ。」


……


「でも……タイトルはどうする?」


……


「うーん……」


……


「そうだ。」


「たぶん……」


「『これが俺の物語……モブとして。』」


……


【通知:


〈この物語は、ガイドが記録します。〉】


……


「……」


……


「……は?」


……


「今の、そんな簡単に言ったのか?」


……


「おい、ポンコツ……」


「それ、全然安心できるセリフじゃないからな!?」


……


「普通はさ……」


「『俺がお前を死なせたりなんかしない』とか……」


「そういうこと言うんじゃないのか?」


……


「はぁ……」


……


「なんかもう……」


「俺のスキルが、俺を消そうとしてる気がする。」


さらに強く目を閉じた。


……


「こんなことをしてる場合じゃない。」


……


「意識の奥深くでは……」


「すべてが静かだった。」


「何もかもが、止まっているように。」


「集中しろ、俺……」


……


「何かある。」


……


「かすかにしか見えない……」


「何かが。」


……


淡い光が――


遠くで、かすかに輝いていた。


……


「これか?」


……


そこへ近づこうとする。


一歩……


そして、もう一歩。


……


やがて、走り始めた。


……


もっと速く。


もっと、速く。


……


だが、どれだけ走っても……


距離が縮まっている気がしない。


……


「はぁ……」


「はぁ……」


「どうなってるんだ?」


……


「どうして、たどり着けない?」


……


「それとも……」


「向こうが俺から離れているのか?」


【通知】


〈解析の結果……〉


〈対象地点は、その場から移動していません。〉


〈また、対象地点がフィンから離れている様子もありません。〉


……


「はぁぁぁぁ!?」


「それ、どういう意味だよ!?」


……


「俺のこと、見えてないのか!?」


「俺はずっと、そこに向かって走ってるんだぞ!」


「向かって走ってるのに、どうやったら離れるんだよ!?」


【通知】


〈解析中……〉


……


「よし……」


「この錆びた塊に任せよう。」


……


俺は、その場にゆっくりと身を委ねた。


……


そのまま、後ろへ倒れる。


……


「うわっ!」


……


まるで――


冷たい水の中に沈んでいるような感覚。


……


冷たい。


……


なのに、不思議と……


怖くなかった。


……


むしろ……


穏やかだった。


……


奇妙な静けさ。


……


このまま、ここにいたい。


何もせず……


この水の中に、ずっと。


……


何かが……


光っていた。


……


目を開く。


……


あの地点が、近くにあった。


さっきよりも……


ずっと近い。


……


「どうなってる……?」


【通知】


〈対象・フィンの意識が薄れたことで、対象地点への接近が可能になったと推測されます。〉


……


「意識が薄れた?」


「意識って、どういう意味だよ!?」


【通知】


〈現時点で判明している情報は以上です。〉


〈追加情報はありません。〉


……


「くそっ、この錆びた塊!」


「こんな状況になってまで……」


「やっぱり役立たずのガラクタじゃないか!」


……


深く息を吸った。


……


そして、そのままさらに沈んでいく。


……


「もしかすると……」


「この水に何か関係があるのかもしれない。」


……


「だったら……」


「このまま沈んでみるか。」


そして――


突然。


水が消えた。


……


暖かな風。


青く澄んだ空。


眩しい太陽。


……


「……え?」


……


「目の前に……何かある?」


……


重い頭を、どうにか動かした。


……


身体が重い。


それに――


地面より少し高い場所にいるような感覚がする。


……


「なんだ、これ?」


……


「家……なのか?」


……


目の前には――


広い庭が広がっていた。


木々。


花々。


そして――


今まで感じたことのないような静けさ。


……


「はぁ……」


……


「なんて、心地いいんだ……」


……


「こんな静かな生活……」


「俺も、送りたいな。」


……


「これくらい……」


「モブの俺が望んでも、いいよな?」


……


その時。


遠くから声が聞こえた。


「フィン様……」


……


俺は動きを止めた。


……


「誰だ?」


……


「フィン様……」


……


少女の声だった。


誰かを呼んでいる。


……


「待て……」


「フィン?」


……


「それ、俺の名前だよな?」


……


「それに……様。」


「たぶん、身分の高い相手を呼ぶ時に使うやつだ。」


……


「フィン様!」


「どこにいらっしゃるんですか!?」


……


「たぶん、俺を呼んでるわけじゃない。」


「きっと、別のフィンって奴がいるんだ。」


……


さらに近づく。


もっと近くへ。


……


ようやく、その姿が見えてきた。


……


少女。


……


頭の片側から、一本の巻き角が伸びている。


その上から、銀色の髪が流れ落ちていた。


そこには、淡い桃色の髪も混じっている。


……


「美人だ……」


……


「まあ、まだ顔ははっきり見えないけど。」


……


「でも……」


「なんだか、すごく心配そうだ。」


……


「こんな美人を、ここまで心配させるなんて……」


「いったい、どこの馬鹿だよ?」


……


「フィン様!」


「ここにいらしたんですね!」


……


少女が、こちらを見る。


……


そして――


その表情が、一気に明るくなった。


「フィン様!」


「やっぱり、ここにいらしたんですね!」


……


「……え?」


……


俺は周囲を見回した。


右。


……


左。


……


「俺……なのか?」


……


「いや。」


「違う。」


「いやいやいや。」


「絶対に俺じゃない。」


……


後ろを確認しようとした。


……


だが、頭が妙にゆっくりと動く。


……


「なんで俺、こんなに動きが遅いんだ?」


……


少女が、ゆっくりとこちらへ近づいてくる。


着ているのは――


一枚のドレス。


……


「待て。」


……


「この服……」


「どこかで見たことがある気がする。」


……


少女が、こちらへ手を伸ばした。


……


そよ風が吹く。


木々が静かに揺れた。


……


そして――


突然。


身体が落ちた。


「うわぁっ!」


「お、おいおい!」


……


「待て……」


……


「なんだ、この感じ……」


「周りの全部が……やたら大きくないか?」


……


「うぅ……」


……


次の瞬間。


暖かな腕が、俺の身体を包み込んだ。


……


「……え?」


……


少女が、くすっと笑った。


「ふふっ……」


「まあ、なんて可愛らしい顔なんでしょう。」


……


「お姫様……」


「受け止めてくれて、ありがとう。」


少女は、また笑った。


「ふふふ……」


「もう、恥ずかしいですよ。」


……


そして俺を両腕で抱き上げる。


「さあ、行きましょう。」


「みんなが待っていますよ。」


「会議の時間です。」


……


「……会議?」


……


「会議……」


……


「会議……」


……


「この言葉……嫌いだ。」


……


「俺の辞書には存在しない。」


……


「人が大勢集まって……」


「終わらない会議なんて開かれる場所は……」


……


「ろくなことにならない。」


……


俺は彼女を見た。


……


「おい、そこの女……」


「ちょっと待て。」


……


「お前、勘違いしてるぞ。」


……


「俺はフィン様じゃない。」


……


「……いや、そもそも」


「お前が探してる奴が誰なのかも知らないけど。」


……


俺は、どうにか腕を持ち上げた。


……


「俺は……」


……


「フィン。」


……


「ただの脇役――」


……


言葉が止まった。


……


「……何か、おかしい。」


……


「そうだ。」


……


「かなり、おかしい。」


……


俺は自分の腕を見た。


……


黒い毛。


小さな指。


そして――


いつもの俺の腕より、遥かに短い両腕。


……


「……」


……


「なんだ、これ?」


……


「驚くべきか?」


……


「それとも……驚かなくてもいいのか?」


……


「もしかして、ただの夢なのかもしれない。」


……


「うわぁぁぁっ!」


……


頭に鋭い痛みが走った。


……


「な、なんだ……?」


……


痛い。


……


そして――


すべてが消えた。


目を開く。


……


闇。


……


冷たい水が、まだ俺の身体を包んでいる。


……


「……え?」


「ここ……どこだ?」


……


苦しそうに息を吐く。


……


「はぁ……」


……


「戻ってきた……」


……


「夢……だったのか。」


……


前を見る。


……


あの地点が、そこにあった。


……


だが――


もう小さくはなかった。


……


大きい。


そして、暗い。


……


身体が強張った。


恐怖が全身を一瞬で縛りつける。


……


「これ……」


……


「あの時、あそこから放たれていた光……」


……


「周囲の光が歪んでいたのも……」


……


周囲の空間が、はっきりと見えるようになっていく。


……


ただの闇ではない。


……


もっと深い何か。


……


周囲の光そのものを、飲み込んでいる。


……


「まるで……」


「ブラックホールみたいだ。」


……


そこで言葉を止めた。


……


「いや……」


……


「もしかして……」


……


「本当に、そうなのかもしれない。」

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