決して指導者になってはいけなかった男
今日、俺たちはここにいる……
ついに、俺たちの計画を実行に移すために。
……
俺は前へ手を伸ばした。
……
以前の俺が……
変わることはない。
……
この新しい世界で生き残り……
そして頂点へたどり着くために必要なのは……
俺自身だけだ。
……
— ネフェルタニア王を……
— 俺たちの手で倒す。
— そして、俺たち自身の王国を築く。
……
— 俺についてくるというのなら……
— その力を貸してくれ。
— 誰一人として顧みない王など、王とは呼べない。
— 今日この瞬間から……
— 俺たちは、あの王の敵だ。
— 他のどの国でもない。
……
そうだ。
俺は誰も信用しない。
……
それでも……
俺には、使える手が一つでも多く必要だ。
この新しい世界を作りたいのなら……
俺一人では何もできない。
……
すると……
歓声が上がった。
— 俺たちはあなたについていく!
— ネフェルタニア王を倒すんだ!
— あいつの街の人間が豊かで何不自由なく暮らしている間、俺たちはずっと苦しんできた!
— 最後まであなたと共に戦う!
……
そうだ。
これだ……
俺が聞きたかったのは。
……
そして……
これさえあれば、変化を始められる。
この国全体を変える日が……
少しずつ近づいている。
俺たちは……
ただの民衆。
貧しい者たち。
互い以外には、何も持たない者たち。
……
俺は固く握り締めた拳を、彼らの前に掲げた。
— 信じてくれ……
— 俺たちの人生に、平穏なんて訪れない。
— そして、それは俺たちの子供たちも同じだ。
— なぜなら、あの結界の向こうで暮らす者たちにとって……
— 俺たちは、ただの家畜にすぎないからだ。
……
— この結界……
— ネフェルタニアの神々が作り出した結界だ。
— 本来は、俺たち全員を守るために作られたものだ。
— 街に住む者たちだけを守るためじゃない。
……
数秒の沈黙が落ちた。
そして、俺は再び声を張り上げた。
— もし俺たちが黙ったままなら……
— いつか必ず、俺たちはこの危機と一人で向き合うことになる。
— 魔物と戦うのも、俺たちだけ。
— 死ぬのも、俺たちだけだ。
— その一方で、あの王と街の人間たちは結界の中で……
— 食べ……
— 飲み……
— 安全な場所で眠り続ける。
……
— 俺は、誰もが一度はチャンスを与えられるべきだと思っている。
— だが……
— チャンスは与えられるものじゃない。
……
俺は拳を強く握り締めた。
— チャンスは……
— 自分の手で掴み取るものだ。
……
「これが、前の人生で俺が生きてきたやり方だった。」
「戦った。」
「這い上がった。」
「恐れることなく、すべてに立ち向かった……」
「一歩たりとも、後ろへ下がらずに。」
……
「あの頃の俺には、チャンスなんてなかった。」
「だから……」
「自分の手で作った。」
……
俺は再び拳を彼らの前へ掲げた。
— この拳で……
— 俺は栄光を築いた。
— 力を鍛え上げた。
— 何もないところから。
……
「毎日、俺は高みから手を掲げた……」
「そして、ほんの一瞬……」
「鎖を断ち切った鳥になったような気がした。」
……
俺は目の前に並ぶ人々の顔を見渡した。
貧しさに疲れ果てた顔。
怒りに満ちた顔。
もう何も期待していない顔。
……
— ネフェルタニアの民よ……
— 力を研ぎ澄ませ。
— 覚悟を固めろ。
— もう後戻りはできない。
……
— 俺たち自身の手で、未来に平穏をもたらすんだ。
— 誰も俺たちのことなんて気にしていない。
……
俺は一度、言葉を止めた。
そして……
笑った。
— そうだ……
— 時には、非情さも必要だ。
……
— 俺の友たちよ……
— たとえ、この世界が燃え尽きようとも……
— 俺たちは、その灰の上に立つ者となる。
— その時になって初めて……
— 俺たちは、奪われたものを取り戻すんだ。
拍手が起こった……
そして、会場の至る所から声が上がった。
男:
— そうだ!
— 俺たちは戦わなければならない!
別の男:
— 夢のために戦うことすら拒むのなら……
— 俺たちは一体、何なんだ!?
若い男:
— ネフェルタニは、この大地に生きるすべての人々を結界で守るために、自らの命を捧げたんだ!
……
— その通りだ。
— ネフェルタニは、すべての人々のために、その魂さえも捧げた。
— この大地に生きる者たちのために。
……
そこで、俺は声の調子を変えた。
— だが……
— 街の人間と王宮の者たちは……
— 毎年、この結界を狭めている。
— どんどん……
— そして今では、自分たち以外の誰も守れないほどになっている。
……
— あいつらは、もう俺たちのことなんて気にしていない。
— だからこそ……
— 俺たちは、この暴政に終止符を打たなければならない。
……
声が、さらに大きくなる。
男:
— そうだ!
— 死ぬまで、お前についていく!
別の男:
— 俺たちは、子供たちとその未来の希望だ!
若い女:
— 私たちが何年もの間、何を耐えてきたのか……
— あいつらに思い知らせてやる!
……
俺は彼らを見渡した。
そこにある、無数の顔。
怒り。
そして……
たった数言の言葉から生まれた、憎しみ。
……
「こいつらに必要なのは、これだけだ。」
「希望じゃない。」
「慈悲でもない。」
……
「憎しみ。」
「怒り。」
「憤怒。」
……
「人間から理性を奪い……」
「何をしてでも目的を果たそうとさせる感情。」
……
— だからこそ、ネフェルタニアの民よ……
— 正しいのは、俺たちだ。
— その正しさこそが、俺たちの声になる。
— その正しさこそが、俺たちの力になる。
……
— だから、俺はここに宣言する。
— 秋の始まりは……
— ただの祭りでは終わらない。
……
再び、彼らの声が大きくなった。
……
— なぜなら……
— その舞台に立つのは……
— 俺たちだからだ。
— この大地に生きる、本当の民。
— 苦しみ続けてきた者たち。
— ネフェルタニが、その魂を捧げた者たち。
— 街の壁の内側で、贅沢に暮らしている連中じゃない。
……
俺は一度、黙った。
そして、自分の手を見つめた。
「だが……」
「俺はもう、あの頃の俺とは違う。」
「前の人生では……」
「俺の身体は、自らの限界に縛られていた。」
……
指の間に、魔力が現れる。
「だが、この世界では……」
「この力がある。」
「この手の中で輝く魔力がある。」
……
「もう、失敗する余地はない。」
……
俺は手を掲げた。
— お前たちは、俺についてくるか?
— イェェェェェス!
— そうだ!
— 俺たちはお前と共にいる!
……
俺は笑った。
— なら、これからは集団に分かれて動く。
— 街全体に、静かに混乱と腐敗を広げていく。
— この王国の人間たちに、恐怖を教えてやる。
— そして、不安を。
— たった一日だけでもいい……
— 俺たちがこれまでの人生で感じてきたものを、あいつらにも味わわせる。
……
俺は言葉を止めた。
そして……
— そして、あいつらがようやく祭りを始める時が来たと思った、その瞬間……
……
俺は笑った。
— すべてを燃やす。
— この炎でな。
---
数分後……
人々は、それぞれ散っていった。
……
「計画は始まった。」
「壊れた魂たちが、すべて集まった……」
「すべての怒り……」
「すべての憎しみ……」
「俺の壮大な舞台のために。」
……
「残るのは……」
「その時が来るのを待つだけだ。」
「その時が訪れるまで……」
……
背後から、足音が聞こえた。
俺は立ち止まった。
— 見ていたのか?
……
パチ……
パチ……
……
俺はゆっくりと振り返った。
— なるほど……
— 俺の演説は楽しんでもらえたか?
— この道化師め……
……
— これは、承認のサインってことでいいのか?
— はは……
— まあ……
— その時が来るまで、あと数日ってところだな。
……
街の、とあるカフェ。
……
— おい……
— ちょっと聞いていいか?
少年:
— 何?
……
— いや……
— なんでここにいるんだ?
少年:
— どういう意味?
— ケーキを食べに来たんだけど。
……
— うん……
— それは分かってる。
— でも、なんで俺の隣に座ってるんだ?
— サマラリス……だったか?
サマラリス:
— だって……
— 席が空いてなかったから。
……
— なるほど……
— まあ、説得力のある答えだな。
— でも……
— そこ、もう誰か座ってるのが見えないのか?
サマラリス:
— 実は……
— 君のことを、どこかで見たことがある気がしたから座ったんだ。
……
— へえ……
— それはなかなか興味深い答えだな。
— つまり……
— 俺をどこで見たのかは忘れたってことか。
— そうか……
— まあ、俺のことを忘れるのも無理はないか。
— 俺たち、そんなに長い時間一緒にいたわけじゃないしな。
サマラリス:
— うーん……
— たぶん……
……
……
「くそ……」
「このガキ……」
「まさか、俺を馬鹿にしてるのか!?」
「三ヶ月前、俺をダンジョンに置き去りにしたことを忘れたのか!?」
サマラリス:
— うーん……
— もう少しよく見てみたら……
— 思い出した。
— お前、あの弱いガキだろ。
— ダンジョンに連れて行って、そこで死なせるつもりだった奴。
— 名前はなんだっけ?
— ヴィン……
— だったと思う。
……
— ああ……
— 俺だよ。
— ヴィン。
— 冒険者たちに馬鹿にされていた奴だ。
— あの美人の女の子と一緒にな。
……
「くそぉぉぉぉ……!」
「お前、前はまともに喋ることすらできなかっただろ!?」
「俺が会ってから今までで、一番長い台詞じゃないか……」
「しかも内容が侮辱と嫌味だと!?」
……
「おい、世界……」
「いい加減にしてくれないか?」
「どうして俺を、過去最悪の出会いばかりに引きずり込むんだよ!?」




