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〆切は修羅場

その足でビクトリアは新聞社に駆け込み、茶会での出来事を洗いざらい話した。


「ピタン伯爵婦人、その話本当なんですか?いやね、新聞社としても特ダネになる記事は欲しいですよ?ですが、相手が王族や高位貴族となると話が違う。

それを記事にしたとして、不敬罪や侮辱罪で訴えられたら潰れるのはこっちだ」


新聞社社長は、葉巻を加えつつ足を組んで向かい合うように座るとビクトリアに言う。


「ですが……これは真実なのですよ!?公にせねば風紀が乱れます!!」


ビクトリアは叫ぶ。


「風紀ねぇ。私からしたら乙女達が楽しんで娯楽を満喫してるようにしか見えませんがね?」


社長は首を傾ける。


「なっ!?」


ビクトリアは空いた口が塞がらない。


「それにリスクを伴う真実を記事に書いたら最後、消されるのは此方だ。茶会に参加したのは貴女御一人だけ。果たして信憑性はあるのでしょうかね?」


社長は目を細める。


「疑うと言う事ですか!?」


テーブルを叩いてビクトリアは立ち上がる。


「貴女こそ高位貴族や王族のやり方を知らなさすぎて無知だ。良いですか?例え真実だとしても、貴女は呑み込まないと行けない。それが貴族の生き方ですよ。それに、逆らって捻り潰されるのがおちだ」


社長はビクトリアに忠告する。


「なら、私一人で闘いますわ!!」


ビクトリアは諦めず新聞社から飛び出すのだった。


「やれやれ、男爵家上がりの婦人は世間知らず過ぎる」


社長は溜め息を着くと、奥から現れた侍従に振り返った。


社長はクルオルナが送り込んだ元侍従で、今朝の内に社長は交代させられていた。


ピアーズ公爵家の権力を使った結果だ。


「クルオルナお嬢様に連絡を」


「畏まりました」


社長エドガー・バンスは、恋人の侍従に頼むとソファーに深く座る。


……お嬢様もお人が悪い。わざわざ泳がせるんだもんな。


捻り潰せる虫けらなのに、ゲームしているつもりか?


いや、〆切に追われてるだけか。


エドガーは溜め息を着いた。



侍従は公爵家に戻り、クオルナに報告した。


クオルナの周りには、リーグルトを始めとする美男達が仕上げの作業に追われていた。


元々リーグルト達とは幼なじみで、腐作家になったのも後押しと協力があったからだ。


「あらそう?ビクトリアったら一人で足掻くのね?」


寝不足の目を擦りながら、クオルナは微笑む。


「社交界が開かれるとしたら王宮夜会か?まさかそこで騒ぎを起こす気じゃ無いだろうな?兄上夫婦が念入りに準備していた夜会だぞ?」


リーグルトはペン入れしながら冷や汗を掻く。


「リーグルト殿下、奇人変人は場所を選びませんよ。予想しない事をしでかすから理解できないのです」


シュバルツが呆れたように言うと、原稿を一枚一枚確認していく。


「物理的に首が飛ばないと分からないのかも知れないわね。まぁ、私はどうなってもピアーズ公爵家の力で捻り潰すわ」


愉しそうにクルオルナは答えた。


「物理的……でもなんでビクトリアはあそこまで腐文化を目の敵にするんだ?」


アーノルドは掃除しながらクオルナに聞く。


「あの人は社交界で嘘ばかりついて牛耳ってると思い込んでいたの。実際は、皆さん貴族として曖昧に笑って距離を置いていたわ。

そこに、私達の腐文化が到来したわけ。自分より注目されるのが癪に触ったのかしらね。修羅場を知らないから無知なのよ」


クルオルナは栄養ドリンクを飲み干す。


「しかし、ピタン伯爵家の力はそこまで強くありませんし……中立派でも新興貴族。

立場は依然と低いままかと」


マチルダはトーンを片付けながら言う。


キイッ


「女のプライドが無駄に高いだけですね。はい、栄養満点の昼食作って来ましたよ」


そこへ、エプロン姿のハリスが入って来た。


「まあ、美味しそう。ハリス、今度料理屋でも開いたら?絶対繁盛すると思いますわ」


「宰相の父の跡を継ぐので無理ですね。ですが、趣味としては料理を続けるつもりです」  


クオルナにハリスは苦笑いしてテーブルに置く。


そんなピアーズ公爵家は、使用人達が皆〆切に追われ小説の確認作業に入って居た。


メイドや侍女は、リアルカップルを見て喜ぶ始末。


今日もビクトリアを除いて、ピアーズ公爵家は賑やかだ。


「まあ、でも夜会で騒ぎを起こすなら起こさせれば良いじゃないかしら?私達は普段通りにすれば良いのよ」


「普段通りに?でも混乱招くんじゃないか?」


クオルナにリーグルトは尋ねる。


「高々伯爵婦人一人が騒いだ所で意味を持たないわ」


クオルナはサンドイッチを掴むと、バクバク食べ始めた。


「クオルナが言うなら」


シュバルツは苦笑いする。


「上手く行くかよ?」


アーノルドは半信半疑だ。


「何のために茶会を開いたと思ってるのかしら?全て自滅させるために開いたのよ」


クオルナは不敵に笑う。


「流石はクオルナ嬢ですね」


ハリスは感心する。


「さあ、一週間後の夜会に備えて〆切乗り切るわよ」


「おー!!」


「やってやるぜ!!」


「はい!!」


「わかりました!!」


クオルナに言われ、リーグルト、アーノルド、シュバルツ、ハリスは返事をした。


「眼福」


マチルダはリアルカップルを見て喜んでいた。


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